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碧南火力発電所燃料アンモニア利用における安全への取り組み会社情報 / 発電所一覧

燃料アンモニア基礎知識

世界初のプロジェクトが、ここ愛知県碧南市から始まっています。

 現在、日本では化石燃料での火力発電が電力需要の約8割を支えています。一方で、国内のCO2排出量の約4割が火力発電に由来しているという課題があります。私たちJERAは、国内最大の発電事業者として、2050年に当社事業から排出されるCO2を実質ゼロにする「JERAゼロエミッション2050」に取り組んでいます。

CO2を出さない火力発電の実現へ。

 CO2を排出しないゼロエミッション火力発電の実現に向けた第一歩として、世界に先駆けてアンモニアの燃料利用に取り組んでいるのが、愛知県碧南市にあるJERA碧南火力発電所です。世界でも最大級の総出力410万kWを誇り、各地へ安定した電力を供給する国内最大の石炭火力発電所です。この碧南火力発電所で、2023年度末から世界に先駆けて、燃料の20%を石炭から燃料アンモニアに転換して発電する技術の確立に向けた実証事業※が行われます。

  • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成事業:アンモニア混焼火力発電技術 研究開発・実証事業

石炭火力発電所での燃料アンモニア利用。そのメリットとビジョン。

 石炭火力発電は、細かく砕いた石炭を燃やした熱で蒸気を作り、タービン(発電機)を回して発電をします。火力発電は地球温暖化の原因となるCO2を排出してしまいますが、ここで着目されているのが、燃料を石炭からアンモニアに段階的に置き換える方法です。アンモニアは燃えてもCO2が出ません。そのうえアンモニアと石炭は燃焼速度が近いことから相性良く燃えるため、発電量はそのままに、石炭をアンモニアに置き換えた分だけCO2を減らすことができるのです。
 さらに、現在の設備を使用しながら、この取り組みを進めていけるので、低コストかつスピーディーに実施することができます。そして燃料アンモニアの比率を段階的に増やしていき、最終的にはアンモニアのみでの発電を目指します。

万全な燃料アンモニア受け入れ体制。

 燃料アンモニアは約マイナス33度に冷やされ液化した状態で、専用の船で運ばれてきます。碧南火力発電所では、その状態で受け入れて専用タンクに貯蔵します。このタンクを含む燃料アンモニア設備には、安全な運用ができるよう、万全な対策を講じています。

アンモニアタンク(イメージ図)

アンモニアタンク(イメージ図)

アンモニアは、さまざまな分野ですでに活用されています。

 アンモニアは、肥料製造の原料をはじめ化学分野や業務用の冷凍庫の冷媒としてなど幅広く利用されています。また、火力発電所では排ガスから大気汚染物質を取り除くためにアンモニアを利用しており、JERAはアンモニアの取り扱いに関する豊富な実績があります。
 なお、アンモニアを火力発電の燃料として安定的に燃焼できることは、すでにボイラメーカーや研究機関におけるラボ試験にて広く実証されています。

アンモニアについて

安全への取り組み

 燃料アンモニアの取り扱いにあたり、地域の皆さまをはじめ、発電所で働いていただく皆さまにも安心していただける安全な設備運用に取り組んでまいります。特にアンモニアを漏らさないための取り組みとして、地震や高潮・津波・洪水による設備被害を受けない強固な安全設計を行うとともに、機器故障や誤操作に備えた未然防止対策を徹底してまいります。
 さらに設備の異常を早期に発見する仕組みや被害を拡大させないための処置マニュアルの整備と訓練を重ねることで、安全・安心な設備運用を実現いたします。
 万が一の漏えいにも備え、碧南市消防の皆さまとの協働や自治体と緊密な情報連携を講じるなどの対策もすすめてまいります。

アンモニアを漏らさない取り組み

三段階の安全対策システムとは

 あらゆる緊急事態を想定し、世界最高レベルの安全性を追求しています。

① 未然防止

耐震設計

 私たちJERAは、想定される自然災害に対して設備損壊が起こらないよう万全な対策をしています。地震に対しては、南海トラフ巨大地震を考慮した基礎ならびにタンクや配管の強度を確保することで、強固で安全な設備設計としています。

地表震度分布(南海トラフ巨大地震)

地表震度分布(南海トラフ巨大地震)

高潮・洪水・津波対策

 伊勢湾台風による過去の最大潮位や今後想定される最大級の高潮・洪水や津波にも耐えうる設備設計としています。

② 早期発見・処置

 設備の日々の巡視点検や定期点検に加え、運転状態やガス漏えいについて24時間リアルタイムで遠隔監視を行っています。さらに異常発生時には警報が発せられ、操作員がマニュアルに従い、迅速な対応処置を行います。その処置を万全に行うため操作員は訓練を重ねています。

中央制御室

中央制御室

③ 拡大防止

 アンモニアには水によく溶けるという性質があります。万が一の漏えい時には、水を撒いてアンモニアガスを吸着させ拡大防止を図ります。タンクは液体が漏れ出ることを防ぐフェンスの役割をする防液堤の中に設置されていますので、アンモニアを吸着した水は、防液堤内にとどまり、すみやかにこれを回収します。

防液堤

防液堤

「地域の一員として、安全第一に努めてまいります」

 脱炭素社会の実現に向けた取り組みのひとつとして、これまで運転してきた石炭火力発電所の燃料を、燃やしてもCO2を排出しないアンモニアに置き換えていく世界で初めての実証試験が、ここ碧南火力発電所で始まっています。私たちJERAはこれまでも火力発電所でアンモニアを取り扱ってきた経験は豊富にありますが、より一層慎重に取り扱うとともに、異常の未然防止や早期発見、さらに万が一漏えいが発生しても拡大防止に努めるなど多重に策を講じて、地域の一員として安全第一に努めてまいります。

株式会社JERA 碧南火力発電所 所長 谷川 勝哉

株式会社JERA 碧南火力発電所 所長
谷川 勝哉

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