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コンプライアンスサステナビリティ

基本的な考え方と課題認識

当社は、「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」とのミッションの下、「JERAグループコンプライアンス基本方針」および「JERAグループコンプライアンス行動基準」に基づき、コンプライアンスの徹底を図り、ステークホルダーからの信頼の獲得・維持に努めています。
燃料上流・調達から発電、電力・ガス卸販売に至る一連のバリューチェーンを保有する企業として、当社には、競争法・贈収賄・人権・環境等の様々なコンプライアンス課題に対応する責務があります。また、当社の従業員はグローバル企業にふさわしい崇高な倫理観の下、これらの課題に関する法令や規制、社会規範を誠実に遵守しています。

コンプライアンスという最低限の「資格」あっての事業活動

コンプライアンス推進体制

当社は、コンプライアンスに関する諸施策等を審議・決定する機関として「コンプライアンス委員会」を設置し、コンプライアンス経営を推進しています。同委員会は、会長 Global CEOや社長 CEO兼COOを含む社内委員と社外弁護士その他外部有識者等の臨時の委員から構成されています。同委員会で審議・決定されたコンプライアンス施策や不正等に関する調査・是正・再発防止措置等の内容は、随時取締役会に付議または報告を行っています。また、法務部が同委員会の事務局として、各職場のコンプライアンス責任者・推進担当や、グループ会社と連携してコンプライアンスに取り組むことで、経営層から従業員レベルまで、グループ一体となってコンプライアンスを推進する体制の維持に努めてまいります。

コンプライアンス推進体制図(2024年7月1日時点)

コンプライアンス推進体制図

コンプライアンス推進教育・研修

当社は、コンプライアンス委員会において、外部有識者の意見や従業員アンケートの結果を取り込みながら、毎年度のコンプライアンス推進施策を審議・決定するとともに、その進捗状況のモニタリングを行っています。
2023年度は、コンプライアンス基本方針および行動基準の解説資料にあたるJERAコンプライアンスガイダンスの策定や、コンプライアンス推進イベントであるコンプライアンス推進月間の開催、イントラや社内SNSの活用といった取り組みを通じ、コンプライアンス推進を図っています。
2024年度も、全従業員にさらなる浸透を図るべく、分かりやすいコンプライアンス施策や情報発信・研修教育のさらなる強化に焦点をあて、コンプライアンス意識の定着と徹底を図ってまいります。

2023年度のコンプライアンス推進施策

腐敗防止

当社は、「JERAグループコンプライアンス基本方針」および「JERAグループコンプライアンス行動基準」が定める腐敗防止を徹底するため、社内規程において国内・海外の公務員等への接待・贈答、寄付および代理店等の起用に関する承認手続や取引先との金品授受に関する報告手続を定めるとともに、各手続の周知や運用状況の監視・監督、コンプライアンス委員会への報告を行っています。
また、腐敗指数の高い国・地域における取引やM&Aを中心に、取引等における腐敗防止のデューディリジェンスに努め、当社が不測の腐敗リスクを負うことのないよう取り組んでいます。

腐敗防止に関する基本方針
(「JERAグループコンプライアンス行動基準」より抜粋)

  • お取引先とは常に節度ある健全な関係を保ち、社会通念を超える金銭、贈物、接待その他の経済的利益を供与しません。また、社会通念を超える経済的利益を受け取りません。
  • 調達活動においては、国内外を問わずオープンで公正かつ公平な参入機会を提供し、合理的かつ透明性の高い手続きにより取引先を選定します。
  • 各国・各地域の政治・行政とは国内外の法令および社内規程等を遵守し、公正で開かれた関係を構築・維持します。
  • 国内外を問わず、公務員またはこれに準じる立場の者への不正な接待・贈答・便益の供与その他経済的な利益の供与は行いません。
  • 代理店やコンサルタント等に対する支払いの一部が公務員またはこれに準じる立場の者への不正な働きかけのために流用されること、またはその疑いがあることを知った場合には、このような支払いは行いません。

お取引先との公正・公平な取引
(CSR・ESGに配慮した責任ある調達)

当社は、自由貿易と市場競争を尊重し、公正・公平を旨とした取引および事業活動を行っています。
発電事業者としては「適正な電力取引についての指針」の遵守や内外無差別性の確保をはじめとする、電力の適正な競争確保のための活動の徹底を、エネルギー・バリューチェーンを支える発注者の一員としては、「パートナーシップ構築宣言」に基づく取引先や下請先等との連携・共存共栄を推進しています。また、競合他社とのカルテル・入札談合の予防の観点から、2023年度には、新たに「競合との接触に関する規程」を策定しました。
さらに、資材調達においては、「資材調達方針」を定め、品質確保や適切な調達コストの管理のほか、法令や企業倫理の遵守、安全確保、BCPなど、CSR・ESGに配慮した責任ある資材調達活動に取り組んでいます。このほか、取引先との相互研鑽と密接なコミュニケーションを図るために調達方針説明会を実施し、取引先の意見や要望を聞きながら、当社のグループコンプライアンス基本方針・行動基準に則った取り組みへの協力を求めるとともに、取引先との間のさらなる信頼関係の構築に努めています。

内部通報制度とハラスメント相談窓口

当社は、コンプライアンス違反の未然防止や早期発見・解決のため、内部通報窓口(コンプライアンスほっとライン)を設置しています。同窓口は、実名または匿名で、社内または社外の連絡先へ連絡することによって利用が可能であり、国内外の法令違反をはじめ、社内規程違反に関する相談や通報を広く受け付けています。また、2021年度からは、ハラスメント相談窓口を新たに設置し、ハラスメント等の労務問題の相談・通報を専門に受け付けています。2023年度は、内部通報窓口には19件、ハラスメント相談窓口には25件の相談・通報が寄せられました。

内部通報 案件一覧(2023年度)

内部通報 案件一覧(2023年度)

なお、当社では、2022年度の改正公益通報者保護法の施行を受け、内部通報窓口およびハラスメント窓口における公益通報対応体制の整備や公益通報対応業務従事者の指定・研修教育等を実施しています。また、内部通報制度の利用を促すため、通報者の意向を踏まえた調査や通報等に関する秘密保持、通報者への不利益取扱や報復禁止の徹底等、内部通報制度の信頼性向上に向けた取り組みや定期的な周知を行っています。

内部通報制度とハラスメント相談窓口

法務部長に聞く

法務部長 仰木 佐和子

法務部長 仰木 佐和子

当社において、コンプライアンスは、安全を守ることと同じように「第一」に考えられています。コンプライアンスを守ることで、仲間や家族を守っています。
経営トップからも繰り返し、コンプライアンスとは決して難しい話ではなく、「相手(お客さま、取引先や投資家、そして同僚)の立場と気持ちを考えること」「嘘をつかず、仲間を大切にし、信頼すること」と発信し、従業員と対話を繰り返していますが、コンプライアンスとは、単に法令や社内のルールを遵守すれば良いという話ではなく、相手の立場に立って、自分がされたくないことは相手にもしないという気持ちに立って、自分の言動で相手はどう感じるのだろうか、仲間や家族を守っていることにつながっているのだろうかと常に立ち止まって考えることではないでしょうか。

当然、コンプライアンスは全グループ会社、全職場、経営トップから従業員まで全役職員に関わる話ですので、コンプライアンス部門の努力だけで完結するものではありませんが、情報発信や研修等の提供により、自発的な取り組みを支援する等、法務部門からも、コンプライアンス重視の企業カルチャーをつくり上げていく取り組みを行っています。
近年、国内では電力・エネルギー業界において、コンプライアンス上の問題が相次いだことを、当社では大変重く受け止めています。当社国内ビジネスの根幹である電力・ガスの卸取引については、「JERA取引監視委員会(後述)」を設置し継続的に外部専門家の意見を取り入れる等、自助努力を重ねております。グローバルビジネスを展開する上では、地域ごとに法規制や習慣が異なるため、地域の専門家と相談しながら、適切なコンプライアンス体制を整備してまいります。
当社は今後とも公益企業としての大きな社会的責任を意識し、コンプライアンスを第一にビジネスに取り組んでまいります。

国内発電所との意見交換

海外主要子会社等との意見交換

JERA取引監視委員会

JERA取引監視委員会設置の背景

当社は、国内に電力・ガスをお届けするエネルギー事業者として、その責務にふさわしい行動を続けるよう、市場競争を尊重するとともに、法令の遵守はもとより、公正・公平を旨とした取引や事業活動を行っています。
そうした取引や活動を第三者視点で確認・検証することを通じ、その透明性をさらに高めることを目的に、外部有識者を含む「JERA取引監視委員会」を社長 CEO兼COO直属の組織として2023年6月に設置しました。

実施内容

  • 電力・ガス卸市場取引の適法性・妥当性の確認
  • 電力・ガス卸販売契約の内外無差別性・妥当性の確認
  • その他の取引(対株主取引を含む)における、競争法上、事業法上の適法性・妥当性の確認

体制図(2024年7月1日現在)

体制図(2024年7月1日現在)

当社は、本委員会の設置、運営を通じ、国内の公正・公平な電力・ガス取引の市場づくりを先導していきます。同時に、公正・公平な取引をより一層徹底することで、市場競争を通じて事業者の利益が最終消費者であるお客さまに還元されることを追求します。

税務コンプライアンス

当社は2022年2月、経営層の関与を伴う税務ガバナンス強化のため、当社の税務に係る基本的な方針を記載した「JERAグループ税務基本方針」を制定し、外部に公表しています。

当社は、当社の適正な税務上の義務履行及び社会的責任の貫徹のため、税務ガバナンスの強化を通じた、税務リスクの一層の低減を図っていきます。