人財サステナビリティ

CHROメッセージ
人財領域の“攻め”と“守り”で成長を牽引
常務執行役員
Chief Human Resources Officer (CHRO)
横田 太祐
“攻め”とは、事業部門のビジネスパートナーとして、競争力の源泉である人財の質と量をグループ全体で事業戦略に適合していくことです。ビジョン実現に向けた新しい成長戦略では、3つのSP(戦略的事業領域)と3つのOC(事業運営能力)のコンビネーションによる最適なソリューションの提供と、事業環境の変化に合わせた事業ポートフォリオのアジャイルな組み替えが求められています。私たちHR部門は、事業戦略達成に必要な能力(Capability)の把握と機動的な人事施策を通じて、事業戦略達成の確度を人的資本の側面から高めていきます。
一方、“守り”とは、グローバルに展開するグループのオペレーションサービスを向上するとともに、多様な人財が安心して挑戦できる強靭な基盤を構築することです。社員が安全・健康で働くための健康経営の推進や、全ての社員が自らのスタイルで活躍できる環境を整備してまいります。安全・健康で働くことのできる環境や挑戦できる組織・風土を実現することで、人財一人ひとりが誇りと主体性をもって挑戦し、チームとしての能力を最大限発揮できるようになると考えています。人財こそが、グループの成長の源泉です。HR部門は、社員が能力とやる気を高め、成長を感じ、やりがいをもって自立して働くことができる環境を整えてまいります。
攻めの人財戦略
事業戦略と人財のマッチング
私たちの人財戦略は、事業戦略達成に必要なCapabilityを質的・量的に定義し、把握することから始まります。Job型人財マネジメントをベースとして、多様なソリューションを提供することで、必要なCapabilityを機動的に充足します。これらの取り組みによって人財ポートフォリオを最適化するサイクルの実践を通じて、グループの事業環境が変化し続ける中においても、事業戦略達成の確度を人的資本の側面から高めていきます。

Job型人財マネジメントへの変革
事業戦略達成の確度を高めていく上で、必要なCapabilityを充足することのできる優秀な人財を獲得することは、重要な課題の1つです。人財獲得競争がグローバルレベルで激化していることはもちろん、日本国内においても、 少子高齢化の急激な進展や労働市場の硬直性といった社会課題が人財獲得競争に多大な影響を与えています。さらに、個人レベルにおいても、ライフスタイルや働き方の多様化、個人の価値観やキャリア意識の変容など、近年、人財マネジメントは多層化・複雑化しています。
こうした状況において、高水準の市場競争力を維持・向上し、社員のエンゲージメントを高めるため、Jobをベースとした人財マネジメント体制への変革を進めています。


Jobをベースとした
人財マネジメントへの変革
Jobをベースとした人財マネジメントは、国内の人財流動性の低さや新卒採用におけるポテンシャル採用といった特性を踏まえた上で、報酬水準のほか、雇用形態や採用選考プロセス、業績評価、キャリア開発といった一連のライフサイクルを年功や属性などによらないJobをベースとしています。その根底には、会社と社員が対等な関係にあるという基本的な設計思想があります。2024年4月には、全管理職に対してJobをベースとした報酬制度を適用しました。
Jobをベースとしたマネジメント体制

優秀な人財の獲得
事業戦略達成に必要なCapabilityを質的・量的に充足するため、グループ全体で優秀な人財の獲得に力を入れています。キャリア採用では、事業ニーズにマッチしたポジション採用の実施や、リファラル採用を積極的に活用しています。2022年から本格開始した新卒採用では、コース別採用の導入や海外大学留学生の10月入社などにより、専門性や国際性のある人財の獲得に取り組んでいます。また、海外拠点(海外子会社)では、現地採用の拡大や事業買収の進展等を通じ体制を強化しています。

これらの取り組みの結果、連結の社員数は2019年度※と比較して約1,000人増加しました。うち600人は海外拠点の社員数増加によるものです。またJERA単体においては、キャリア採用・新卒採用で入社した社員が約20%まで増加しました。引き続き、事業戦略達成や新たな価値創造、持続的な企業価値向上を目指し、優秀な人財の獲得に注力していきます。
本社・支社機能の社員構成

- 2019年度:東京電力フュエル&パワー株式会社および中部電力株式会社から既存火力発電事業等を統合し、経営・組織体制を確立
人財流動性の向上
事業戦略と人財の機動的なマッチングと、人財ポートフォリオの最適化を実現するため、グループの人財流動性向上に取り組んでいます。グループ内外からボーダレスに人財を発掘・マッチングできるプラットフォーム(グループ内人財マーケット)の構築と、スムーズな配置を実現する仕組み(グローバルモビリティルール)の整備を進めることで、採用拠点に捉われることなく、人財価値を最大限に発揮できる人財ポートフォリオの実現を目指します。
グループ内人財マーケットの構築
グループの全ての人財の情報が可視化され、各事業の戦略遂行に必要なCapabilityを充足できる人財を発掘し、オファーすることが可能なプラットフォームの開発を進めています。
これに加えて、外部人財マーケットへ魅力的なJob情報を公開することで、成長機会を求めるグループ内外の人財が自発的にJobにアプローチできる仕組みの整備にも取り組んでいます。会社と社員の対等な関係を前提とした、双方の成長が実現可能な人財マーケットの構築を目指します。
グローバルモビリティルールの整備
グループ内人財マーケットを活用した人財とJobのマッチングに対し、スムーズな就労環境の提供と、早期の成果発揮を実現する仕組みとして、配置に際しての対応や諸手続きを体系的に整理したグローバルモビリティルールの整備を進めています。 エリアや拠点間のモビリティに限らず、目的や期間、Jobの内容に応じたルールをガイドライン化することで、人財流動性の活性化を目指します。

成長機会の提供
人財育成基本方針
JERAグループは社員一人ひとりを重要な財産と考え、以下の考え方に則り人財育成を行います。
[人財育成の目的]
- 社員自身が成長し続け、自らの人生を力強く生き抜くこと
- 社員の成長を通じてJERAグループの企業価値を向上させ、ミッション・ビジョンを達成すること
海外拠点を含むJERAグループ全社員を対象とし、その成長を積極的に支援します。
自立的キャリア開発
社員一人ひとりのキャリア開発を支援
Jobをベースとした人財マネジメントの「本人主導のキャリア開発」「自分自身でJobを選択可能」という考え方に基づき、社員の自立的なキャリア開発を支援しています。キャリア目標と自身のギャップを埋めるためのキャリア開発計画の設定やキャリア開発面談、スキルアップを多面的に支援する研修体系、新たな業務へチャレンジするための社内公募制度や副業制度、キャリア開発計画の見直し機会など、社員の自己実現を可能とする環境を多面的に整備しています。

社員一人ひとりが自らのキャリアを築く風土の醸成は着実に進んでおり、一例として、自らキャリアを選択する機会のひとつである社内公募制度による異動者数は年々増加しています。
自立的なキャリア開発をサポートするため、スキルアップを多面的に支援する研修体系を整備しています。約70種類130講義の研修の中から、自身の描くキャリアに合わせて選択することができます。
ライブ型研修プログラムへの参加率:21%(ライブ型選択型研修参加者/単体従業員数)
評価制度
目標管理制度を中心とした自己成長へつながる評価制度
目標管理制度を中心に、コンピテンシー評価も取り入れた評価制度が特徴です。また、PDCAを回し、所属長がフィードバックを行うことで社員の自己成長につながる評価制度としています。目標設定および評価のフィードバックは年2回、上長との面談を通じて行われます。

グローバルに活躍できる人財の育成
グローバル化の進展や社員のグローバル志向の高まりに応えるため、語学習得機会の提供や留学制度、海外拠点への短期研修などを整備しています。2024年度新卒入社社員に対しては、グローバル人財への覚悟と意欲の醸成を目的としたグローバルスタートアップ研修を開始しました。また、外国籍社員の増加に伴い、日本語を母国語としない社員に対する日本語研修や、英語で実施するオンライン研修なども整備しています。グループでの人財交流にも力を入れています。2023年7月からはフィリピン・Aboitiz Power社との間で両社の技術力向上を目的とした技術者派遣による人財交流を実施しました。

グローバル人財育成各種プログラムへの参加率:28%(各種プログラムの参加者数/単体従業員数)
経営人財の育成
計画的な経営人財の育成にも取り組んでいます。
経営人財の育成は、サクセッションプランと「Future Talent Development System(FTDS)」の2つから構成されます。
FTDSは、早期かつ長期的に経営人財を育成する観点から、キャリア早期からのタフアサインメント・個人特性に応じた外部研修の受講などを通じて経営人財に必要なCapabilityの早期獲得を促す経営人財育成プログラムで、2023年8月から本格運用を開始しました。
守りの人財戦略
安心して挑戦できる強靭な基盤
健康経営の推進や職場環境の向上、柔軟な働き方の推進などを通じて、国籍や性別にかかわらずグループの多様な人財全てが安全・健康で誇りを持って働き、持続的に成長し、一人ひとりがより主体性を持って挑戦し、能力を最大限に発揮できる組織・風土の構築を進めています。
健康経営の推進
健康で、安心して挑戦できる基盤づくり
社員の健康保持・増進は企業価値向上に貢献するという考えの下、グループの全ての社員が健康で安心して挑戦できる基盤づくりに向けた健康経営活動を推進しています。インセンティブを活用した時間外労働の削減や休暇取得の推奨、ウェアラブル端末活用による健康イベントの開催などの取り組みの成果として、「健康経営優良法人2024」の大規模法人部門に認定されました。今後は、健康に関するデータを活用した健康維持の仕組みの検討などにより、健康経営の取り組みをさらに深化していきます。
JERA健康保険組合の設立
2024年4月、JERA健康保険組合を設立しました。社員への質の高い健康支援を進めるべく、社員への質の高い健康支援を推進するため、設立を機に従来の定期健診を人間ドックに置き換え、社員は無償で受診できるようにしました。全国的な就業エリアに対応できるよう、JERA健康保険組合が契約する全国約400の医療機関にて人間ドックの受診が可能です。
グループでの健康経営推進
グループ全体での健康経営の推進にも取り組んでいます。各海外拠点では、現地の医療機関と提携した迅速かつ適切な医療サービスの提供や、社員が安心して働くことのできる環境を整えるためのセキュリティサービスの導入などを進めています。引き続き、グループで働く全ての社員が健康で安心して挑戦できる組織・風土の構築を進めていきます。
安心して働ける職場環境
ユニフォームのリニューアル
2024年5月に新ユニフォームを導入しました。ユニフォームそのものの安全性を保ったまま、機能性を大きく向上させました。女性でも着用しやすいシルエットを採用するとともに、ポケットの形状や大きさなどを改良した、現場での使いやすさを追求したユニフォームになっています。
また、新ユニフォームの導入に合わせ、環境負荷低減のため、着用済みユニフォームのリサイクルやリユースの仕組みも取り入れています。
柔軟な働き方
自分のスタイルで活躍できる環境整備
働き方やライフスタイルに対する価値観が多様化する中、社員とその家族の様々なライフスタイル・ライフステージに対応し、その能力を最大限発揮できる環境を整えています。
ハイブリッド型のテレワーク制度や、育児・介護・単身赴任の回避などの特別な事情がある場合のフルテレワーク適用、配偶者の海外勤務に伴う海外でのテレワークや休職制度に加え、2024年度からは外国籍社員のニーズを踏まえた母国でのテレワーク制度などを導入しています。
ライフイベントとの両立
育児や介護といったライフイベントを迎えた社員を支援するため、以下のような休職・休暇制度を設けています。

育児休職制度
子が3歳に達する年度末までを限度に、本人が申請した期間、休職を取得できます。

介護休職制度
家族の介護のために、3年間を限度に本人が申請した期間、休職を取得できます。

ライフサポート休暇
年次有給休暇とは別に、入社2年目までに計20日付与される有給休暇です。私傷病や育児・介護、不妊治療、学校行事への参加などに使用できます。年次有給休暇の積み立ても可能です。

各種有給休暇
結婚休暇、出産休暇、裁判員休暇、夏季休暇、子の看護休暇、人間ドック休暇などの有給休暇があります。勤続10年単位で付与されるリフレッシュ休暇では最長2週間の長期取得が可能です。
また、選択型福利厚生制度であるカフェテリアプランにおいて、育児施設・サービス(保育園、幼稚園、学童保育、ベビーシッターなど)、介護施設・サービス(介護老人福祉/保健施設、訪問介護、ショートステイなど)の利用料に対する補助を受けることができます。
認め合う・褒め合う風土の醸成
表彰制度
社員のモチベーションを高め、パフォーマンスを最大限発揮できる組織とすべく、認め合う・褒め合うことで次なる挑戦への意欲醸成を目的とする表彰制度を導入しています。
社員の声を反映して表彰金額を見直したことなどにより、2022年度の導入時と比較し2023年度の表彰件数は885件と約2倍に増加しました。
表彰制度の目的