コーポレートガバナンスサステナビリティ
基本的な考え方
当社は、国際エネルギー市場から信任される強固で健全な経営・財務体質を備え、自律的かつ独立した企業文化と公正・迅速な意思決定が可能となる経営体制を確保することをコーポレートガバナンスの基本理念としています。
この実現に向け、2019年10月に「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、コーポレートガバナンス体制を適切に構築・実践するとともに、その充実・強化に継続的に取り組んでいます。
課題認識
企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、経営者による的確な意思決定を支えるコーポレートガバナンスが不可欠です。エネルギーセキュリティの確保や脱炭素を巡る世界的な動きの加速、当社を取り巻く環境が急速に変化する中、取締役会の一層の機能発揮をはじめ、人財の多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への取り組み強化など、諸課題にスピード感をもって取り組むことが求められています。
当社は、ステークホルダーの皆さまからの信頼を獲得するため、ガバナンスの継続的な強化に努めています。
- 本ガイドラインは、当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方および体制を示し、当社役員の行動指針とするものであり、これにより当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的としています。
ガバナンス体制
当社は、多様な領域でグローバルに事業を展開していくため、事業に精通した当社出身の取締役および豊富な識見を有する社外取締役から構成される取締役会が、経営の重要な意思決定および業務執行の監督を行います。また、独任制の機関である監査役が取締役の職務執行を監査する監査役設置会社の体制を採用しています。なお、各監査役が意思疎通を図り、監査および経営、事業その他の関連する情報の提供と意見の交換を行うため、監査役協議会を設置しています。
また、経営の重要な意思決定および監督と業務執行とを分離し、的確かつ迅速な意思決定と効率的な業務執行を実現するため、執行役員が取締役会における意思決定に基づき業務執行を担う執行役員制度を採用しています。
コーポレートガバナンス 体制図
(2024年7月1日時点)
コーポレートガバナンスの概要
取締役会の役割・責務と多様性
取締役会は、適用法令並びに当社定款および社内規程に基づき、経営目標や事業戦略、その他当社の経営上の重要な意思決定を行うとともに、業務執行を監督しています。
また、当社は、多様な領域でグローバルに事業を展開していくためには、事業環境に迅速かつ適切に対応することおよびその判断の客観性と健全性を確保することが必要であると考えます。このため、取締役には、当社出身の業務執行取締役に加えて独立社外取締役を登用するなど、取締役会全体として知識、経験等様々な要素における多様性を確保しています。議事においては、会長 Global CEOである可児行夫氏を議長と定め、円滑かつ実効的な議事運営を図っています。
取締役会の主な審議内容
取締役会は、原則月1回開催し、経営戦略・事業計画等の経営の基本方針や経営戦略上重要な意思決定などを行うとともに、業務執行を監督しています。経営の基本方針の決定にあたっては、全取締役が出席する取締役懇談会において綿密な議論を重ね、刻々と変化する国際情勢や経営環境、当社の果たすべき役割等について多様な取締役による多角的な議論を経て決定しています。業務執行の監督においては、定期・随時の業務執行取締役からの報告体制を敷き、適時適切な情報把握と対応に努めています。2023年度における主要議案は以下の通りです。
取締役会の主な議論内容
カテゴリ | 内容 |
---|---|
危機対応 | ウクライナ侵攻を受けた諸施策、エネルギーセキュリティ |
経営戦略 | 新長期ビジョン、新環境コミット、財務戦略、新経営目標、成長戦略、安全対策 |
地域戦略 | 世界各地における地域事業戦略 |
脱炭素戦略 | ゼロエミッション火力開発および水素・アンモニアに係るバリューチェーン構築戦略 |
投資決定 | ベルギー、米国、アジア各国、日本等における事業投資・M&A案件の決定 |
経営執行会議および専門委員会
当社は、社内規程に基づき、経営に関する重要事項について審議・決定し、必要な報告を受ける場として、会長 Global CEO、社長 CEO兼COOおよびCXO(Chief X Officer)により構成される経営執行会議を設置しています。
また、経営執行会議の補助機関として、原則として全ての主要分野ごとに専門委員会を設置し、経営執行会議に対し専門的見地から助言をし、その審議を補助しています。取締役会に付議・報告される案件は、原則として関連する専門委員会からの助言を踏まえて経営執行会議で審議・決定されます。経営執行会議での審議結果は、専門委員会からの助言とともに取締役会に報告されます。
指名・報酬委員会の役割と議論内容
当社は、取締役および執行役員の人事および報酬に関する事項を協議するため、社外取締役2名を含む3名以上の取締役で構成される指名・報酬委員会を設置しています。2023年度において当社は指名・報酬委員会を全8回開催しており、各回の出席状況については次の通りです。
指名・報酬委員会の出席状況※
役職 | 氏名 | 出席回数 |
---|---|---|
代表取締役会長 | 可児 行夫 | 全8回中8回 |
代表取締役社長 | 奥田 久栄 | 全8回中8回 |
社外取締役 | 勝野 哲 | 全8回中8回 |
社外取締役 | 酒井 大輔 | 全6回中6回 |
- 上記役員およびその役職は、2023年度末時点のものです。
- 社外取締役 酒井大輔は2023年6月の就任以降に開催された指名・報酬委員会への出席状況を記載しています。
指名・報酬委員会における具体的な検討内容は、取締役および執行役員の指名・役位・分掌等の決定、並びに報酬額の決定(別途取締役会決議)です。
グループガバナンスの強化
当社は、グループ会社の取扱事業や所在国における商慣習を尊重し、迅速果断な自律性ある意思決定を支援しつつ、適切な権限や経営資源の配分により当社グループの持続的な企業価値向上を実現することを目的として、グループ会社管理体制の発展に努めています。こうした考えの下、当社は、内部統制決議(企業集団の業務の適正を確保するための体制)に基づき、JERAグループコンプライアンス基本方針・行動基準など、グループ共通の方針等を通じて、グループ会社において業務の適正を確保するための体制をグループ会社が自律的に整備・運用できるよう、適切な支援を行っています。グループ会社との枠組み合意の実施、および協議・報告・モニタリング事項の各項目に対する遵守事項を決定する仕組みを構築し、具体的には、社内規程による責任と権限の明確化等により、グループ会社が効率的な意思決定を行い、適切かつ迅速な事業活動ができるよう努めています。連結経営上重要な事項については、関係会社管理規程に従い、グループ会社から事前協議や報告を受ける体制を整備しています。また、法令上必要な対応やグループ管理上重要なリスクを含む管理事項の確認を目的として、グループ会社に対し定期的にまたは必要に応じてモニタリングを行っています。
取締役への支援
当社は、各取締役に対する適切かつ充実した情報の提供や、当社の中核事業に関する国際的な外部専門家から知見および助言を直接得る機会等を通じて、取締役が期待される職務を適切に遂行するために必要な支援を実施する体制を整えています。各取締役に対しては、会日の数日前に資料を提供するよう努めるとともに、社外取締役に対しては、会日に先立って議案の事前説明・質疑応答の場を設けることで、十分な情報のもと充実した審議を行い、限られた審議時間を有効活用できる体制を確保することに努めています。
2023年度は、2022年度に引き続き脱炭素戦略、財務戦略、地域戦略に加えて最重要課題である安全対策を重点的に再検証し、経営の重要課題を複数回議論するなど、多岐にわたるテーマを懇談で取り上げました。
役員報酬の設計
取締役の報酬は、株主総会で承認された金額の範囲内で、指名・報酬委員会の協議を踏まえ、取締役会決議に基づき決定します。
取締役の報酬については、固定報酬に加え、当社の持続的な成長に向けた健全なインセンティブを付与するという観点から、業績連動報酬を活用しています。
役員報酬の総額(2023年度)※
- 上記賞与金の支給対象には、2023年度中に退任した取締役1名も含まれます。なお、賞与金は社外取締役には支給されません。
取締役会の実効性評価
当社は、取締役会の実効性の継続的な向上・改善につなげるため、全ての取締役および監査役に対して、1年に一度、取締役会の審議状況や運営状況等に関する調査を実施しています。取締役会は、これらの調査結果を分析・評価し、抽出した課題への対応策を検討・実施し、常に取締役会の実効性の機能向上に努めています。
- 2023年度の
主な対応策 -
- 取締役会規程・付議基準の見直し
- 株主グループとの取引や競合する事業分野の再検証(株主グループとの取引の審議のあり方)
- 取締役会の構成、専門性の補完、研修・教育
- 書面決議を含めたメリハリのある審議時間配分の実施
- 取締役会ポータルシステムの導入
- 2023年度の
評価結果 -
- 論点がより明確化された資料作成の必要性
- 引き続き株主出身以外の社外取締役の増員を志向
- 2024年度に
向けた主な対応策 -
- 外国人取締役や女性取締役の比率向上など多様性の確保
- 新任役員研修のさらなる体系化
- 取締役会資料作成ガイドラインの充実
- 重要地域(海外含む)での開催