メインコンテンツに移動

環境サステナビリティ

課題認識

世界人口の増加や世界経済の発展等に伴い、資源の過剰利用や廃棄物・汚染問題、生物多様性の喪失等、地球規模の環境問題が深刻化しています。なかでも、人間活動に起因するGHGの排出量増加により地球温暖化が進み、世界各地で異常気象による災害が頻発・激甚化し、人々の生活や経済活動を脅かしています。

こうした中、SDGsやパリ協定が国際社会で合意されたことを受け、気候変動対策や生物多様性の保全、循環型社会の形成に向けた目標や枠組みの整備が加速し、各国政府や企業への取り組み要請や期待が高まっています。

当社は、環境と経済が両立する持続可能な社会の実現に向けて、保有する技術やノウハウを活用し、ステークホルダーと連携しながら主体的に環境問題の解決に取り組みます。

基本的な考え方

当社は、国内火力発電業界のリーダーとしてエネルギー基本計画に代表されるエネルギー・環境政策を尊重するとともに、再生可能エネルギーの開発も積極的に推進しています。

さらに、グローバルエネルギー企業を目指し、地球的規模での環境保護の必要性を十分に認識し、各国・各地域の環境法令や条例を厳格に遵守し、持続可能な環境・社会・経済の実現を目指してCO2排出量削減をはじめとした、環境負荷の低減に取り組んでいます。

環境マネジメント体制

当社は、資源消費や環境負荷物質の発生を最小限に抑えるために、発電効率の向上やCO2の排出抑制をはじめ、大気汚染物質の除去、廃棄物のリサイクルなどに積極的に取り組んでいます。
また、ESG経営の高度化を目的として、社長を議長とし、取締役会直属で全社を部門横断的に統括する「サステナビリティ推進会議」を設置しており、環境関連全般について環境部会から毎年度の取り組み計画と実績報告を行います。今後も環境部会が中心となり、環境経営の高度化を進め、持続可能な社会の構築に貢献していきます。

環境教育

発電所の環境業務等に携わる従業員を対象に、環境に関する必要な知識や技術を習得できる研修を実施しています。研修を受講する従業員の職級や習熟度に合わせ、研修レベルを設定し、従業員の環境教育に取り組んでいます。

CO2の排出抑制

当社は、将来に向けたCO2の排出抑制への取り組みとして、2020年10月に「JERAゼロエミッション2050」を掲げました。

世界のエネルギー問題への最先端のソリューションの提供を当社のミッションとし、持続可能な社会の実現に貢献するため、2050年時点で国内外の当社事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦していきます。

再生可能エネルギーについては、これまでも、国内外において事業を積極的に推進していくとともに、関連する組織への参加等を通じ、持続的な取り組みを進めています。洋上風力は、英国・台湾等での事業参画に続いて、北海道・東北地方での開発の検討も進めています。太陽光発電は、アジア諸国のプロジェクトに参加しているほか、国内では株式会社ウエストホールディングスとの業務提携契約を締結し、2025年度末までに計100万kW以上の開発を計画しています。

火力発電からのCO2排出量削減については、2022年8月に営業運転を開始した武豊火力発電所5号機において、大規模な木質バイオマス混焼(混焼率 発熱量比約17%)を実施しているほか、水素・アンモニア混焼の実証事業に向けた取り組みを進めています。

当社は、火力発電によりグリーンな燃料の導入を進め、発電時にCO2を排出しないゼロエミッション火力を追求していきます。自然条件に左右されやすい再生可能エネルギーの導入を、CO2を排出せず安定的に発電可能なゼロエミッション火力で補完することで、ゼロエミッションの達成を目指します。

CO2の排出抑制1
CO2の排出抑制2

[武豊火力発電所5号機] 超々臨界圧発電方式(USC)を採用した高効率な石炭火力発電

木質バイオマス燃料の混焼により、CO2排出量を削減

CO2の排出抑制3

大気汚染の防止

当社の火力発電所から排出される大気汚染物質には、主にボイラから排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、ばいじんが挙げられます。当社は、法令・条例の排出基準や、各自治体と締結している環境保全協定に基づく排出基準を遵守するために、排煙脱硫装置や排煙脱硝装置、電気集じん機などの設置や、燃焼方法の改善に取り組むことで排出量の低減に取り組んでいます。2021年度のSOx排出原単位は0.03g/kWh、NOx排出原単位は0.07g/kWhとなり、欧米主要国と比較し、極めて低い値を維持しています。

主要国の発電電力量あたりのSOx、NOxの排出量比較(2019年)(火力発電所)

主要国の発電電力量あたりのSOx、NOxの排出量比較(2019年)(火力発電所)

出典 : 排出量=OECD Stat
発電電力量=IEA World Energy Balances 2021

水質保全対策(海洋環境への配慮)

当社の火力発電所から発生する排水は、法令・条例の排水基準や、各自治体と締結している環境保全協定に基づく排水基準を遵守するために排水処理設備で浄化し、水質連続測定装置などにより、常時監視をしながら適切に排水しています。また、復水器で使用する海水の水温上昇を抑えるため、取水にあたっては温度の低い深層からゆっくり取り入れ、放流においては放水流速を低減させてゆるやかに表層へ放流するなど、周辺海域の環境影響に十分に配慮しています。

資源循環に関する取り組み

資源循環に関する取り組み
当社は、限りある資源を有効利用するために、リサイクルに積極的に取り組んでいます。当社から排出される主な廃棄物は、石炭を使用している火力発電所から発生する石炭灰が挙げられます。石炭灰は、細粒、軽量、強度を増すなどの優れた材料特性があることから、セメントの原料や土地造成材としての有効利用を推進しています。2021年度の石炭灰有効活用率は、99.99%となっています。

プラスチック資源循環促進法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が2022年4月に施行されました。当社は、事業活動に伴い発生するプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化等の推進にも積極的に取り組んでいます。2021年度の廃プラスチックの排出量及び有効活用率は、それぞれ362t及び98.56%となっています。

廃棄物処理施設の維持管理状況

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)により、廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報を公表することが義務付けられています。当社は、当該廃棄物処理施設を適正に維持管理するとともに、維持管理状況(処分した廃棄物の種類と量、放流水の水質測定結果、施設点検結果等)について当社のWEBで公表しています。なお、2021年度においては、新たに衣浦1号地最終処分場の維持管理状況の公表を開始しました。

化学物質の管理

当社は、火力発電所で使用する化学物質について、PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)を遵守するとともに、社内規程に基づき厳正な管理と排出低減に取り組んでいます。

環境法規制の遵守

当社は、環境法令や条例に加え、各自治体と締結する環境保全協定に基づき事業を実施することで環境の保全に努めています。2021年度は、これら環境法令等の違反による罰金及び制裁措置を受けた事例はありません。

環境影響評価と発電所の周辺環境への配慮

発電所の設置やリプレース等の際には、環境影響評価法に則り、工事中及び発電所の運転開始後における周辺環境への環境影響評価を実施し、その結果を自治体や地域の皆さまにご説明し対話を行っています。

なお、環境影響評価の結果に基づき、周辺環境への影響を考慮し、騒音・振動対策や、産業廃棄物対策、景観保全対策などを適切に実施し、周辺環境の保全に努めています。

主な対策

対策 内容
騒音・振動対策 建物・機器の適正配置、低騒音・低振動機器の採用、消音装置・防音壁設置などの騒音・振動対策をしています。
産業廃棄物対策 火力発電所の業務形態に合わせたマニュアルを整備し、廃棄物の適正処理を図っています。
景観保全対策 発電所の景観対策については、コストを考慮しつつ、地域景観との調和を図っています。

生物多様性の保全

環境影響評価において貴重な動植物が確認された場合には、その生息・生育環境の維持・復元に努めるなど生物多様性の保全に配慮した措置を講じています。

横須賀火力発電所リプレース(1号機、2号機)時の環境影響評価の結果、国内希少野生動植物種であるハヤブサの生息が確認されたことから、建設工事においてはハヤブサの生息環境に影響しないよう、低騒音・低振動型の機械を使用するなどの対策を講じました。また、新設する煙突にはハヤブサの巣箱を設置し、営巣できる環境を整えました。今後もハヤブサの狩場環境に配慮した緑地の整備を行うなど、生息環境の保全に努めます。

横須賀火力発電所の緑地整備イメージ

横須賀火力発電所の緑地整備イメージ

環境への取り組み