横須賀火力発電所でのCCUSバリューチェーン構築に向けた覚書締結について-東京湾の石炭火力発電所で初となるCO2分離・回収設備設置とCO2有効利用に係る共同検討-2025/06/19
株式会社JERA(以下、「JERA」)と川崎重工業株式会社(以下、「川崎重工」)は、本日、横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市久里浜)でのCCUS※バリューチェーン構築に向けた共同検討に係る覚書を締結しましたので、お知らせいたします。
本覚書の締結に基づき、2030年度までに当社子会社のJERAパワー横須賀合同会社が運営する横須賀火力発電所において、川崎重工の最新鋭CO2分離・回収設備を用いた実証をする予定です。
なお、東京湾の石炭火力発電所でCO2分離・回収設備を設置するのは、初の試みとなります。
JERAは「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年までに排出されるCO2の実質ゼロの実現に向けて、再生可能エネルギーの拡大と火力のゼロエミッション化を推進しています。国内の石炭火力においては、碧南火力発電所4号機(愛知県碧南市)における世界初の大型商用石炭火力実機でのアンモニア20%転換実証試験に成功しています(2024年6月26日JERA公表)。実証試験の成功をふまえ、電力の安定供給に配慮しつつ、非効率な石炭火力の不需要期における稼働抑制や2030年度までの全台停廃止、高効率な石炭火力の燃料アンモニアへの転換や専焼化、国内および海外CCUS等の検討といった取り組みを加速しています。
川崎重工は「Kawasaki地球環境ビジョン2050」を掲げ、環境経営に取り組んでおり、固体吸収剤を用いたCO2分離・回収技術(Kawasaki CO2 Capture: KCC)を開発しました。この技術は固体吸収剤で排ガス中のCO2を吸収し、低温蒸気(60℃)を吹き込んでCO2を回収します。KCCは発電所や産業プラントなどの廃熱を利用して蒸気を生成することによりCO2分離・回収コストの低減を実現できます。当初、この技術は閉鎖空間中の呼気由来のCO2を除去する技術として開発されましたが、地球温暖化対策として排ガス中のCO2除去に適用を目指し各種実証試験を開始、複数の石炭火力発電所の排ガスからのCO2分離・回収試験を実施しています。
横須賀火力発電所において、脱炭素社会の実現に向けて、2030年度までに川崎重工のCO2分離・回収設備をパイロットスケールで設置し、火力発電によって排出される排ガスに含まれるCO2の分離・回収から有効利用に至るまでの実証をする予定です。
今後、両社は本覚書を通じて、CCUSの早期社会実装に向けて取り組み、脱炭素社会の実現とエネルギー問題の解決に貢献してまいります。
※ 発電にともなう排ガスからCO₂を分離・回収することで大気へのCO₂排出削減に貢献するに加え、回収したCO₂を地中に貯留または農業や化学品の原料などに利用することで、脱炭素社会の実現に貢献する技術として早期の実用化が期待されている。
(別紙)CCUSイメージとCO₂分離・回収イメージ[PDF: 346.41 KB]