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【更新】2025年度下期 定例記者会見の実施について2026/02/18

発言要旨を追記しました(2026年2月24日)。

 当社は、本日、奥田代表取締役社長 CEO兼COOによる定例記者会見を実施しており、会見で使用したメディアの皆さま向けご説明資料を掲載しましたので、お知らせいたします。

 

【会見概要】
 第Ⅰ部:脱炭素化を着実に進め、GXが定着する社会へ
 第Ⅱ部:重要かつ多面的な価値を持つ火力発電事業の機能維持に向けて

 

【発言要旨】

■ 奥田社長 CEO兼COO

  私からは、

   ・世界的な電力需要増加の中、脱炭素化の流れは止まっていない
   ・脱炭素化を着実に進め、GXが定着する社会へ
   ・重要かつ多面的な価値を持つ火力発電事業の機能維持に向けて

  の3点について、お話いたします。

 

【はじめに】
P2:世界的な電力需要増加の中、脱炭素化の流れは止まっていない
 今日の私どものエネルギー情勢に対する認識について、まず、3つの要素を皆さまにお話をさせていただきます。
 1つ目は、脱炭素についてです。メディア等の報道では世界の脱炭素化は後退している、という記事が最近目立つようになってきております。ただ、私どもエネルギー事業者の立場から見ると、その捉え方は表層的ではないかと思っているところです。アメリカは、洋上風力について急ブレーキを踏んだのは間違いございません。一方で、陸上における太陽光発電や風力発電については、政策支援をしなくても普及が進んでいるのが現状です。また、小型モジュール炉(SMR)をはじめとする次世代原子力発電について、アメリカは国家資本を投入し、非常に力を入れております。したがって、決して脱炭素の歩みを止めているわけではなく、むしろ、自国の地域特性に応じて強みのある脱炭素産業を積極的に育成していく戦略であると私は考えております。また、中国では、太陽光発電や陸上・洋上風力発電、バッテリー、至近ではグリーン水素に至るまで、国家資本を活用し、圧倒的な国際競争力を背景に生産体制を既に構築していることを認識すべきだと思います。
 こういった世界情勢の中で日本が足踏みをしていると、10年後、他の国は非常に競争力のあるクリーンエネルギー供給基盤を持つ一方で、日本は相変わらずコンベンショナル(従来型)な供給基盤のままである可能性もあります。そうならないよう、脱炭素についてスピードの調整はしながらも、着実に歩みを進めていくことが必要であると私どもは考えております。
 2つ目は電力逼迫についてです。アメリカが顕著ですが、データセンターの需要によって電力需要が増加する見込みであると各国で出されておりますが、日本はまだ、電力需要の伸びに直接データセンターの需要がつながっていない状況です。ただ、アメリカで起きていることが、やがて日本でも起きるということは、十分想定の中に入れる必要があり、私どもも着実に準備をしていくことかと思っております。
 3つ目は世界情勢についてです。新たに加わった側面として、世界的に経済安全保障への意識が高まったことが挙げられます。エネルギーについても自国優先という政策に静かに転換しているというのが現状であり、資源もなく、再生可能エネルギーのポテンシャルも小さい日本は圧倒的に不利な立場であり、それに向けてしっかりと意識した戦略を打つことが重要であると認識をしております。LNGと再生可能エネルギー、水素/アンモニア、この3つの戦略的事業領域に重点的に経営資源を配分し、かつ、経営資源の配分は事業進捗や事業環境に応じてアジャイルに配分は変えていくという戦略を出しています。足元ではLNGについて重点的に配分をする形となっておりますが、再生可能エネルギー、水素/アンモニアを成長分野から外すということはせず、スピード調整をしながらも戦略を着実に進めてまいりたいと思います。

 

【第Ⅰ部:脱炭素化を着実に進め、GXが定着する社会へ】
P4:初の日本向け低炭素アンモニアバリューチェーン構築が進捗

 まず、火力発電の低炭素化の第1弾として、アンモニアの導入です。2024年には、愛知県の碧南火力発電所において、燃料の石炭をアンモニア20%転換する大規模実証試験が成功し、昨年12月には、価格支援制度の認定も受け、2029年度のアンモニアバリューチェーンの構築について、順調に進んでおります。
 碧南火力発電所の現場で非常に大規模なアンモニア貯蔵タンク4基の建設が進められております。並行して、アンモニアの輸送配管やアンモニア受け入れ船のため桟橋の工事についても順調であり、2029年度の商用運転には十分間に合うという形で進んでおります。
 米国のBlue Pointというブルーアンモニア製造プロジェクトは、世界最大級のアンモニアメーカーであるCF Industriesと協力して進められており、私どもも参画しています。こちらを活用して碧南火力発電所のアンモニア転換をやっていくということになります。また、日本郵船、商船三井との間でアンモニアの輸送船に係る基本合意を既に締結しており、それぞれ2隻、計4隻のアンモニア輸送船により、年間約50万トンのアンモニアを碧南火力発電所へ輸送する体制が着実に進んでおります。また、碧南火力発電所だけではなく、中部地域の製造業の皆さんにもご活用いただけるよう、販売活動も開始をしております。

 

P5:黎明期の国内洋上風力事業を前進させ、社会に定着させる
 続いて国内の洋上風力事業についてです。私どもは、第2ラウンドの秋田県の男鹿市・潟上市・秋田市沖洋上風力発電事業、第3ラウンドの青森県の青森県沖日本海(南側)洋上風力発電事業について落札をしております。秋田県では、31.5万kWの大規模発電になりますが、2028年6月の運転開始に向けて既に工事を着手しております。現在は、陸上送変電工事と基地港整備工事を進めているところです。この基地港整備工事は来年の夏まで続く予定ですが、来年度の下期以降、洋上風力発電の資機材が海外から入ってくるという段階になります。既にベスタスとの風車調達や、鹿島建設との風車基礎工事に関する契約も締結しており、工事は着実に進捗しています。青森県では、昨年の夏に海底地盤調査が完了し、法定協議会も複数回開催されております。先般、公募占用計画の認定も受けており、本格的にこれから工事の着手に向けた準備に入っていきます。一方、脱炭素化を社会に定着することができるか、これが日本社会全体の非常に大きな課題です。

 

P6:脱炭素価値を創出し、GXが定着する社会へ
 やはり、脱炭素にはそれなりのお金がかかるという認識は、徐々に皆さんの中に広がってきたと思います。脱炭素をコストと見ているうちは、なかなか社会には定着しないのではないかと思っています。脱炭素という新しい価値を見出すことで、それに対して一定のプレミアムを社会が払えるかが、脱炭素が社会に定着するかどうかの鍵だと思っています。
 そこで、脱炭素を社会に定着させる取り組みというのを、2つの観点で今取り組んでいます。1つ目が、価値に応じた価格が付けられる社会となりますが、私どもが産業の高付加価値化とセットにして脱炭素を普及させようとしています。具体的には、地域の強みを価値化していくために、洋上風力の立地周辺で地場の農林水産業の高付加価値化や利益率の向上を図るプロジェクトを進めながら、そういった方々に洋上風力のプレミアムがついた電気を買っていただけるような仕組みを創ることです。
 2つ目が、産業構造の高付加価値化で、これは水素/アンモニアの供給地点となる工業地域で水素/アンモニアの新しいサプライチェーンを使って、産業をより高付加価値化する取り組みです。このような取り組みを進めながら、社会の中にプレミアムのついたエネルギーを買っていただける構造を作っていく取り組みを進めていきたいと考えています。
 また、価値に共感できる社会と書いていますが、一般の市民の方も含めて、人々の社会の価値観を変換させる仕組みが必要だと思っています。脱炭素に取り組まなければ、将来的にかなり大きなツケが回ってきます。つまり、社会的なコストが上がるということです。だから、今のうちから手をつけていき、脱炭素に対して一定のプレミアムを払うことは当然であるという価値観に転換することが社会に必要で、それを促すための取り組みを進めていきます。具体的には2つあり、1つは、JERA セ・リーグを通じた取り組みを来シーズンから始めていきたいと思っています。もう1つは、昨年設立した一般社団法人社会的価値共創フォーラムで、皆さんや若者も含めて社会問題についてディスカッションすることで、こうした価値観を持った人たちを増やしていく。そういう活動をこれからもやっていきたいと思っています。

 

P7:脱炭素価値で地域に根ざした事業を高付加価値化
 まず、産業の高付加価値化とシンクロさせた取り組みについてですが、地方の洋上風力立地地点周辺でのモデルをイメージしています。例えば、酒造メーカー、水産業、農業を対象に、産業から生まれてくるモノを、より高い値段でマーケットに受け入れられる環境を作っていく取り組みに加えて、産業の利益率の向上に資する取り組みを進めます。例えば、水産業でいうと、養殖の設備を作って安定した売り上げを上げられる環境を作ることです。農業では、非常に高いプレミアムの米が作られていますが、その米の生産量をさらに上げるための自動化、DX化を一緒に進めていきます。そういったところにプレミアムのある洋上風力の電気を使っていただく取り組みを進めることで、地場産業の利益率を上げながら洋上風力の電気を使っていただく社会を作っていきたいと思っています。ヤンマーグループ、SMBCグループと農林水産業の未来を創造する地域構想に関する覚書を締結させていただきましたが、こういう取り組みを目指したものです。
 次に、最初はアンモニアですが、これを船舶用燃料で使っていただき、コンビナートのエネルギー源を水素やアンモニアに転換するなど生産プロセスでも水素/アンモニアを使っていただくことでクリーンエネルギーを産業連関の中にインストールしていくということができないか。さらには三重県および四日市市との四日市コンビナートのカーボンニュートラル化に向けた連携協定を締結しました。四日市市はコンビナートから数キロ離れた山側に、巨大な半導体銀座ができようとしていますが、コンビナートの中のエネルギー供給の中間品の生産と半導体の生産を連関させながら、さらに高度化されたサプライチェーンを作って、そこで水素/アンモニアというプレミアムな燃料を使っていただくことができないか、といった検討を始めていきたいと思っています。

 

P8:脱炭素の価値に共感できる場を創出
 続いて、もう1つの柱である社会の価値観の転換を促す仕組みについてです。JERA セ・リーグは、これまでに地域貢献や社会貢献につながる活動を、セ・リーグの6球団とファンの方と一緒にやってきましたが、2026年のシーズンからは、脱炭素の取り組みを共創するプロジェクトを始めていきます。こちらは準備ができ次第、発表させていただきたいと思います。
 そして、一般社団法人社会的価値共創フォーラムの活動で、企業や人、学者、そして芸術家などが集まり、社会問題を侃侃諤諤議論するプラットフォームを作りました。そこには、高校生や大学生にも参加してもらっています。若いうちから社会問題に関心を持ってもらい、その解決に向けて大人たちが真剣に議論している姿を見てもらうことによって、この社会問題の解決というものに対して参加する意識を持ってもらいたいと思います。そういう意識を持った人は、こうした取り組みに参加をしていただき、一生懸命に社会問題を解決しようとする企業に対して、しっかりプレミアムを払ってくれるのではないかと思っています。そういう人財の育成に取り組んでいくことで、社会の価値観の転換を促していきたいと思っています。


【第Ⅱ部:重要かつ多面的な価値を持つ火力発電事業の機能維持に向けて】
P10:重要性が高まる火力発電を最大限活用するために(全体像)

 火力発電事業の機能維持に向けた取り組みについてお話しします。火力発電に求められる役割は2つあり、足元の電力需要増にしっかり対応することと、もう1つは再エネの導入に伴い増えていく需給のしわ取りに火力発電で対応するという2つのことが今求められています。
 一方で、環境は非常に厳しくなってきています。世界中でデータセンター増加に伴う電力需要のためにガスタービンが必要になっており、エネルギー関連の資機材、工事要員も圧倒的に不足しています。そういった中で無理に工事を進めるとかなり値段が跳ね上がる。そういう循環が世界中で起きているという環境です。また、ガスタービンだけではなく、高圧ケーブルも変圧器も値段が上がっている状況です。
 そういう状況の中で、日本は他国よりも先行して、火力発電でのしわ取り対応を始めています。しわ取りに伴い、火力発電の起動停止回数は急増するとともに、設備トラブルも急増して計画外で停止することがよくあります。そうするとトラブルが発生した設備を直さなくてはいけませんが、直す必要があるときには要員がいない、資機材もない、何とか要員や資機材を手配しようとすると価格が高いといった構造になっている。さらに地政学的なリスクが高まっていることで、どうしても燃料調達に不安が出てくる。これにも対応する必要があり、発電事業というのはかつてないほど難しい局面にあります。
 ただ、私たちとしては、発電事業が中心の事業体のため、当然できる対応をこれから打っていきたい。リプレース以外では、まず既存の火力発電所の健全性をしっかり維持していきたいと思います。新しい発電所をすぐに作っていける環境ではないことから、既存の発電所の健全性を徹底的に維持して使い倒さなければいけません。そのためには、火力発電機をまず壊れないようにする工夫が必要です。もう1つは、設備が壊れたときに迅速に直すことができる工夫をすること。この2つの発電所の健全性を維持する対応策を打っていきたいと思います。
 もう1つは、世界の分断が進む中でのLNGの役割について、需要増への対応やしわ取りへの柔軟性も必要であることに加えて、地政学リスクや安全保障リスクを踏まえたエネルギーセキュリティの確保も必要です。この3つを兼ね備えたLNG調達の戦略に変えることも進めていかなければいけません。

 

P11:蓄電池の導入により、火力発電機の負荷を軽減
 まず、火力発電機を壊れないようにするための工夫として、火力発電だけでしわ取りをするのではなく、季節間の大きな変動を、春と秋に石炭火力を止めることでしわ取りしたい。そして短期的なしわ取りは、できれば再生可能エネルギーの事業者にバッテリーをつけていただきたいと思っています。いろいろ検討は進んでいますが、いずれもルールの変更など規制への対応が必要になってきます。これにはどうしても時間がかかります。時間がかかって手遅れになる前に、新しい対応策として、我々自身で火力発電機とセットで運用する蓄電池を大量に導入していきたいと考えています。
 2024年度に、石炭火力発電所では年間で合計110回の起動停止をしており、ガス火力発電所に至っては12,500回の起動停止をしています。2014年の起動停止回数と比べると、増えたのが一目瞭然だと思います。これは壊れて当たり前な運用をしていて、これを抑えていかないといけません。
 基本的に、バッテリーを設置するとか石炭火力のしわ取りもやりますが、それだけで済むわけではないため、新しい策として、火力発電所と蓄電池を組み合わせて運用していく検討を始めています。火力発電機を停止させないために、需要がないときは蓄電池に貯めて、ピーク時には蓄電池から放電をする運用をすることで、火力発電所のしわ取りの負荷を下げ、火力発電機が壊れるのを防ぐことができないか検討していきます。まだ蓄電池を設置する地点も決まっておらず、蓄電池も価格が高いため、どういった規模の蓄電池を入れていけば一番経済性があり、安定供給を損なわないのかをしっかりと考えていく必要があります。

 

P12:補修部品を戦略的に確保し、計画外停止時も迅速に修復
 次に、設備が壊れたときに迅速に直すために2つのことをやっていきます。
 1つは、設備のリスク評価についてです。発電所のデジタルパワープラント(DPP)化が進み、起動停止が多くなったときに、どの部品が壊れやすいかというデータが溜まってきています。壊れやすい部品は在庫を積み増しておくことによって、壊れたときには迅速に取り替えが可能になります。
 もう1つは、早期調達や適時調達の実現です。そもそも手に入れるのが難しい資機材が出てきています。具体的には、大型の変圧器や高圧ケーブルは、手に入れるのが難しくなっています。こういったものを予め買っておくことをしようと思っています。そして、部品の中には特殊な材料を使って、加工して作る部品があります。その特殊な材料を手に入れるのに、かなり時間がかかることが分かっています。部品は持たないが、特殊な材料を予め買っておくことで、いざ壊れたときにすぐ部品に加工して据え付けるということをできるようにします。
 これらは、かなり大規模な取り組みになりますので、我々だけではできないと思っています。国内外の電力会社も含めて、水平連携をしてこの取り組みを進めていきます。もう1つは、メーカーとも共同での垂直連携でも、そういう取り組みを進めていきます。今後、検討して具体化してまいりたいと考えております。

 

P13:安定性と柔軟性を高めたLNGポートフォリオの強靭化
 最後に、LNGの調達に関する話をさせていただきます。繰り返しになりますが、需要増加への対応、しわ取りへの対応に加えて、エネルギーセキュリティへの対応が必要になってきています。LNGの調達ボートフォリオの考え方を既に変えて取り組みを始めております。昨年、米国から新規でLNGを550万トン調達すること、また、今年、カタールから300万トンのLNGを調達することを決定しました。新しいポートフォリオの考え方に沿って調達を始めており、地域を分散させることに加えて、米国の仕向地自由のLNGを取得しましたが、これがしわ取りに非常に扱いやすい。また、カタールの300万トンのLNGについては、米国のLNGと全く違うLNGとお考えいただければと思いますが、こちらは緊急時には圧倒的に強いわけです。2011年3月の東日本大震災で、すべての原子力発電所が停止したときに助けてくれたのがカタールでした。緊急時に圧倒的な強さを持つのがカタールの魅力でありまして、これから経済安全保障上のリスクが高まる中でカタールのLNGを確保しておくことの意義は非常に大きいと思っています。したがって、経済産業省とカタール・エナジーとの間で緊急時のLNG供給に関する覚書を締結しています。この2つが我々のLNG調達ポートフォリオに入ることで、需要増加、しわ取り、エネルギーセキュリティ確保に貢献していると思っていますので、今後もこういう考え方で調達活動を続けていきたいと思います。

配布資料:2025年度下期定例会見説明資料[PDF: 2.77 MB]