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【更新】2025年度上期 定例記者会見の実施について2025/06/27

発言要旨を追記しました(2025年7月1日)。 

 当社は、6月27日、可児代表取締役会長Global CEOおよび奥田代表取締役社長 CEO兼COOによる定例記者会見を実施しましたので、概要をお知らせいたします。

【会見概要】
  テーマ:・事業環境の変化によるLNGシフトとJERA成⾧戦略の遂行
      ・地方創生・産業高付加価値化と一体となったGX開発の実現

【発言要旨】

可児会長 Global CEO
 私からは、昨年5月に公表した成長戦略を踏まえて、この1年の主な取り組みをご紹介します。

P3:2024年5月に発表した成長戦略概要と振り返り
 成長戦略では、JERAのミッションの達成に向けて、LNG、再生可能エネルギー、水素アンモニアの3つの領域への投資と、2035年度に向けた財務的な目標を公表しました。また、3つの領域への投資配分は、事業の環境変化に応じてアジャイルに組み換えることもあわせてご説明しました。

P4:投資配分の組み換え、事業環境変化を受けてLNGを強化
 まさに、この1、2年は事業環境が大きく変化しました。特に、あらゆる分野でもコストの増大は、我々の投資配分に大きな影響を与えています。元々コストの高い投資は、相対的により高くなりました。例えば、水素アンモニアのコストは、LNGに比べると、供給コストの絶対値の差が大きく拡大してきました。1つにはこうした背景があり、世界的にLNGに対する再評価が進んできたと思います。
 こうした状況を踏まえて、ここ数年は、LNGにより焦点をあてる一方で、脱炭素を推進しネットゼロを目指す上でも、再生可能エネルギーや水素アンモニアを何とかSustainableな事業にするため、より投資規律を入れ、他社との協業によるリスク分散もしながら、引き続き取り組んでいこうと考えています。
 それでは、次のスライド以降、3つの領域について、簡単にこの1年の動きをご説明します。

P5:再生可能エネルギーはStep3を達成、中長期的な飛躍を目指す
 まず、再生可能エネルギーは、昨年の成長戦略で3つのステップを踏んで成長することを公表しました。最初の2つのステップを踏むことで、魅力的な事業体を構築し、最後のステップで他社との資本提携を含めた可能性を探る戦略です。
 そして、成長戦略を公表した同じ5月に、ロンドンでbpのマレーCEOと面談し、この成長戦略を契機に統合交渉がスタート、その半年後の昨年12月に50:50のJV設立に合意しました。社名はJERA Nex bpです。9月頃には合弁会社をスタートできると思いますが、世界トップ5に入る洋上風力会社となります。
 厳しい事業環境の中で、100%自前でやるということではなく、他社とコラボレーションを組むことで、スケールを大きくし、より多様化した投資ポートフォリオを組み、また、補完的な能力を組み合わせることで、リスクを分散し規律を効かせた運営をしていきます。

P6:水素アンモニアバリューチェーン上流・下流でCapabilityを確立・強化
 次に、水素アンモニアです。
 コスト高騰の影響が一番大きいのですが、まずは、ブルーアンモニアの最初の導入案件を仕上げることに集中していこうと考えています。具体的には、昨年、碧南火力での燃料アンモニア20%転換実証試験に成功し、商業運転に向けた工事を加速しています。
 一方、ブルーアンモニアの生産については、今年4月に、米国ルイジアナ州で世界最大規模となる生産案件へ投資することを決めています。
 バリューチェーンの構成要素を一つ一つ仕上げることで、今後、事業環境が好転した際に、更なる投資に素早くアクセルを踏めるように準備を整えていきます。
 なお、こうした取り組みと並行して、脱炭素に向けた新しいソリューションとして、東京湾を中心に、CCS案件の立ち上げ準備を進めています。

P7:LNGの調達戦略を見直し、米国LNG最大550万トンを新規調達
 最後に、3つ目のLNGについてご説明します。
 特にこの1年、ガスまたはLNGに対する再評価が世界的に行われてきたと思います。データセンターは象徴的な話ですが、急増する電力需要に対して、24/7の安定的な電力を供給できるのは、現実的にはガスまたは、パイプラインのガスがない日本のような地域ではLNGしかないということが米国をはじめ、世界の認識になっています。
 そのLNG市場は、今後短期的には、新規の供給により市場が緩む可能性がある一方で、2030年代に入ると、これまでLNG調達に踏み切らなかったアジアの買主を中心としたLNG需要が、長期契約でカバーされていないかなりの量があるという認識でいます。
 一方で、供給サイドをみますと、2030年前後にスタートする新規のLNG供給は、ちょうど今が交渉タイミングの終盤にあり、主な供給力は米国とカタールです。その米国のLNGはいわゆるガルフコーストから出てくるシェールガスを液化した案件ですが、ここも例外なく、最近のコスト増加の影響を受けていて、競争力のある新規供給余力は減ってきています。
 こうした背景を踏まえ、この1年以上にわたる検討と交渉の末、今月、最大550万トンの米国LNG調達について公表しました。

P8:JERAがこれからも大切にすること、kW・kWhで安定供給を高めながら競争力と柔軟性を確保
 JERAは、今後も日本への安定的なエネルギー供給を守っていきたいと非常に強く思っていますが、そのためには変化する日本の電力市場への対応が欠かせません。
 日本は、夏と冬が電力の需要期で、春と秋は不需要期です。春と秋の電力の不需要期というのはガス火力で焚くLNGの所要量もそれと同じで、需要期のLNGの所要量のレベルを仮に10とすると、不需要期のLNGの所要量は、ほんの5、6年前までは10:8、今は10:5、そして5年後は10:3まで下がっていくと考えています。
 LNGの長期契約を一度締結すると、15~20年にわたって、LNG船が例えば我々の東京湾のLNG基地に毎月一定の数量でやってきます。一方で、所要量は一年を通じて10:3で変動していくというわけです。
 この変動への対応ができないと、日本への安定的なエネルギー供給の確保に大きな課題が生じます。そこで、JERAが20年以上かけて取り組んできたのが、P7でお示ししたLNGバリューチェーンの構築です。
 つまり、自由にどこにでも販売してよい競争力のあるFOB契約を広げる、LNGの船団を強化する、グローバルなトレーディング能力を持つ、そして国内火力の基地や火力の柔軟な運営能力を高めることによって、LNGが不要なときには世界のどこかで販売し、必要なときにはスポットで調達することを可能にしています。
 今回の米国LNG調達はFOB契約という、どこに持っていってもいい契約になります。これは我々のLNGバリューチェーンに必要な打ち手だと考えており、今後も拡大するLNG所要量の変動に合わせて、バリューチェーンの強化を進めていきたいと思います。



奥田社長 CEO兼COO
 いま可児から当面LNGに重点を置いた事業運営をしていくという話を申し上げましたが、一方で、脱炭素の問題が消えたわけではございません。中期的に必ず解決していかなければならない課題として取り組んでいく所存です。
 ということで私からは、日本社会の中に脱炭素・GXをどう定着させていくべきなのか、その中でJERAはどう取り組んでいくのかについてお話ししていきます。

P10:脱炭素へのソリューションを共創 GX開発×地方創生・新産業構造
 脱炭素には非常にコストがかかる、お金がかかるという世界的な常識が形成されつつあると思います。そのような中で日本社会においても脱炭素を進めていこうとすると、前回の記者会見でも申し上げましたが、産業の高付加価値化を進めて、それと歩調を合わせる形で脱炭素を進めていくのが無理のないやり方ではないかと考えております。ここでいう産業の高付加価値化というのは、平たい言葉で言えば、「いいものは高くちゃんと売りますよ」という社会構造、産業構造をつくっていくことだと思います。これを進めていくためにJERAは2つの取り組みにチャレンジをしていこうと思っています。下の絵をご覧ください。
まず一つ目の取り組みは、地方創生と一体となったGXの開発です。ここで地方と我々が言っているのは、これから私どもが洋上風力を開発する秋田や青森といった地域です。このような地域で地場産業の利益を拡大する取り組みをしながら、洋上風力の地産地消ができるモデルを作っていく、このような取り組みをしていきたい。これが地方創生と一体になったGX開発のイメージです。
 もう一つの取り組みは、右側、産業の高付加価値化と一体となったGXの開発で、こちらはコンビナート等の工業地域をイメージしています。工業地域周辺では、我々の火力のゼロミッション化に伴い、水素アンモニアの大規模な受入拠点をこれから作っていきます。これを工業地域の皆さまにもしっかりと活用していただくことによって、より高く売れる製品を工業地域で一緒につくっていく、それに合わせてGXを定着させていく、そのような取り組みを進めてまいりたいと思います。

P11:地域の再エネを活用し、地域産業の高付加価値化へ
 こちらが地方創生と一体となったGX開発のイメージですが、2つのステップで進めていきたいと思っています。まず、ステップ1として地域にしっかりと利益が還元されるような仕組みを作ることです。例えば、秋田や青森は、すでに非常に付加価値の高い農産物、水産物、例えば日本酒、このようなものが生産できています。問題はその利益が地元に還元されてこないということです。一例として日本酒の例を申し上げると、日本では5,000円で売っている日本酒が、海外では50万円で売られているという事例があります。その差額の49万5,000円は、全部海外の小売事業者の利益になっています。この利益を地場産業に戻していく取り組みを一緒にやりたいと思っています。そのためには、価値を評価していただけるお客さまを自分たちで開拓するということが必要で、このような取り組みをサポートすることによって、地域に利益が還元される仕組みをまずは作っていきたいと思います。
 この取り組みを通じて、地場の利益を大きくした上でステップ2、今度は洋上風力から出てきた地産地消のクリーンエネルギーをお使いいただいて、更に付加価値を上げていただくということが出てくると思います。このようないい循環を作っていきたいというのが、地方創生と一体となったGX開発のイメージです。

P12:クリーン燃料による新たな産業連関モデル構築を通じた高付加価値化
 今度は産業の高付加価値化と一体となったGX開発のイメージです。まずやるべきことは、我々がゼロエミッション火力のために作る大規模な水素アンモニアの受入拠点を皆さんに使っていただくところからがスタートです。
 例えばコンビナートでいうと、今まで石油を起点として、石油を原料もしくはエネルギー源として製品を順番に作って、受け渡し、最終生産物を作るというプロセスがありましたが、そこに今度は水素やアンモニアを起点として、順次生産物を作っていくという新しいサプライチェーンを付け加えていただく。それによって最終的に生産する生産物を、今まで以上により高く売れるような付加価値の高いものにしていくことができないかといった検討も工業地域の皆さまと一緒に考えてまいります。
 また、アンモニアには船舶用の燃料としての期待が非常に寄せられています。工業地域の港にはたくさんの船が出入りをするので、こういった船に対してアンモニアのバンカリング供給ができないのかについても今後詳細な検討を進めてまいりたいと考えています。

P13:GXが根付く豊かな社会にむけて
 このような共創活動を通じて、GXを何とか社会に定着させていくということを考えていますが、これだけでは十分ではないと思っています。前回の記者会見で申し上げましたが、もう一つ大事なことは、電気・エネルギーというものを量り売りから価値売りという考え方に変えて供給していくことが非常に重要だと思っています。この絵にもありますように、ガス・LNGから生み出される電気、水素アンモニアから生み出される電気、再エネから生み出される電気、全部違う価値というのを生み出しています。その価値の違いをしっかりとご説明して、違いに合わせたプライスタグ、値札をつけさせていただく、価値ごとに値段を変えて売っていく仕組みを作ることと、地方創生と産業の高付加価値化のスキームを作っていくことの掛け算で、GXが社会に定着していくのではないかと考えています。

 今日の話はとても抽象的ですが、これは予告編です。これから具体的なパーツについてプレス発表を順次させていただくことになります。その時に今日の話を少し思い出していただいて、あのストーリーのこの部分というふうに覚えていただけると大変幸いです。
 

 

配付資料:2025年度上期定例会見説明資料[PDF: 2.37 MB]