TLP方式による浮体式洋上風力発電 低コスト化技術検証事業の採択について2022/01/21
株式会社JERAは、三井海洋開発株式会社(以下「三井海洋開発」)、東洋建設株式会社(以下「東洋建設」)、古河電気工業株式会社(以下「古河電工」)とともに、日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言の実現に向けたグリーンイノベーション基金事業の一環として国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が募集した「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」に、共同で提案した「浮体式洋上風力発電低コスト化技術検証事業(TLP※浮体)」につき、1月21日付けで採択の通知を受領しました。
2050年カーボンニュートラルの実現のため、日本政府は2040年までに浮体式を含めた洋上風力の発電容量を30GW~45GWとする目標を掲げています。現在世界中で開発が進んでいる着床式洋上風力は、水深の浅いエリアに設置場所が限られていることから、国内においては、陸から離れた深い水深海域に設置可能な浮体式洋上風力の実用化が強く求められております。
TLP方式は、海底基礎との緊張係留による高い安定性により、今後の主流となりうる15MWクラスの大型ウインドタービンをコンパクトな浮体に搭載することが可能なため、発電コストの低減が期待されます。また、TLP方式の係留索は、水深100mを例とした場合、他の係留方式に比べて海面下での占有面積を1000分の1程度に抑えることができ、漁業や船舶運航など既存事業への影響をより小さくするため、優れた社会受容性が期待されます。
本事業は、2030年代初頭の浮体式によるウインドファームの実用化を念頭に、TLP方式による浮体・係留システム、及び海底送電システムの要素技術を確立していくものです。
4社は、NEDOから交付決定通知を受けた後、およそ2か年で要素技術開発を行います。当社が実証予定地での観測を行い、発電設備の設計と環境条件の設定を行います。また、三井海洋開発が浮体・係留システム、東洋建設が係留基礎、古河電工が送電システムと、従前まで各社が検討してきた技術を、要素技術毎にシミュレーション、実証実験等を通じ検証するとともに、当社より提示する設計・環境条件を基に、15MWクラスの発電実証設備の基本設計を実施します。また、発電実証後の商用プロジェクトの実現に向けて、量産化・低コスト化のためのサプライチェーンの検討も開始いたします。
当社は、再生可能エネルギーにおけるグローバルリーダーを目指し、国内外において大規模な洋上風力発電事業を積極的に推進しています。浮体式洋上風力発電は、国内の再生可能エネルギーの普及拡大に重要な技術であり、様々な企業と連携しながら技術開発やノウハウの習得に努めてまいります。
※TLP:Tension Leg Platform『緊張係留』