次代を牽引する、最新鋭の火力発電所を。
姉崎発電所リプレースプロジェクト

Project

Introduction

2017年、JERAは新たな建設プロジェクトをスタートさせた。そのミッションは、姉崎発電所の老朽化した発電設備をリプレースし、次代を牽引する新たな火力発電所をつくり上げること。「世界最新鋭の発電所」の実現を目指して、プロジェクトメンバーたちはどのような困難に向き合い、乗り越えてきたのか。プロジェクト完遂に至るまでの道のりにフォーカスを当てる。

  • JERAパワー姉崎合同会社
    事業管理部 事業管理課

    2011年入社 基礎理工学専攻

    内藤 文彦

  • 国内ゼロエミッション火力推進統括部
    国内ガス火力事業部 課長

    2002年入社 エネルギー変換科学専攻

    赤松 真貴

  • O&M・エンジニアリング運営統括部
    技術部 タービンユニット

    2015年入社 基礎理工学専攻

    井上 達也

  • O&M・エンジニアリング運営統括部
    姉崎火力建設所 所長

    1993年入社 電気工学科

    亀井 宏映

※情報は取材当時のものになります。

Project 01

目指すは、世界最新鋭。

老朽化した4機の発電設備を廃止し、新たに3機の最新鋭設備を設置する。「姉崎火力発電所リプレース計画」は、ただ設備を刷新するだけのプロジェクトではない。環境負荷を大幅に削減し、これからのエネルギー供給を担うためのものだ。

最新鋭の設備を導入することで、その発電熱効率は世界最高水準となる約63%に向上。CO₂排出量も約30%削減され、NOxなどの大気汚染物質排出量も大幅に削減されることになる。加えて、新生・姉崎火力発電所では「運用性の向上」を追求するための機能をさらに充実。

某自動車メーカーから指導を受けてきたKaizenのノウハウを導入し、ガスタービンなどの定期メンテナンスを容易に行えるようにする、最先端のITを駆使してプラントの運転監視を高度化するなど、運転員の負担を大幅に軽減。次世代を見据えた発電所を実現する、意欲的なプロジェクトとなっている。姉崎火力発電所で所長を務める亀井宏映は、ある強い想いを抱いて、このプロジェクトに臨んだのだという。

「社会に高品質で低コストの電気を届けるために、世界最新鋭の発電所をつくる。所長として、このような一大チャレンジに向き合えることを心から幸せに感じていました。これまで私がその背中にあこがれ、追いかけてきた歴代の所長に恥じることのない仕事をしよう。常にアグレッシブに、一切の妥協をすることなく、自らの使命を全うしよう。強い意志を持ってプロジェクトに向き合おうと考えていました」

Project 02

建設プロジェクトを根底から支える。

プロジェクトの発足と同時に、JERAは姉崎火力発電所のリプレースと、完成後の運転・保守を行うJERAパワー姉崎合同会社(ASG)を立ち上げた。大規模な建設工事においては、多額の資金を調達し、さまざまな契約を結び、全体をマネジメントしていく必要がある。その仕事は、まさに縁の下の力持ち。ASGに出向した内藤文彦は事業管理者として、国内ガス火力事業部の赤松真貴はスポンサーであるJERAの立場として、この一大プロジェクトを支えていった。

「これまでのキャリアで学んだ国内開発地点に関する知見や、国内火力発電所の現場経験を活かして、姉崎のリプレースを確実に成功させてみせる。そんな想いをもってプロジェクトに臨みました。広範な業務を任されるASGのメンバーに知識や経験を提供し、支えていく。黒子のような役割を果たすことも多かったですね」(内藤)

「私自身、国内の事業開発に携わるのは、はじめての経験。プロジェクトに参画が決まった時は、高揚感よりも少しだけ緊張が大きかったというのが正直なところです。ミッションはスポンサーの立場からASGの事業をマネジメントし、プロジェクトを成功に導くこと。契約周りの対応や、試運転などの各工程における社内調整など、多様な業務を担当しました」(赤松)

事業計画の策定・管理や資金調達をはじめ、経理・税務、融資や工事に関わる契約の締結・管理、監査対応……。任された仕事は、新事業の立ち上げそのものと言えるほど、広範で煩雑なものだった。さらに、姉崎の建設が行われたのは、コロナ禍の真っ只中。リモートでの関係性構築・工程や契約内容の調整には大きな困難が伴った。

「対面では伝わっていたはずのニュアンスが伝わらない。当初は難しさを感じるシーンが多かったですが、お互いに誠実かつ丁寧なコミュニケーションを心がけることで、良好な関係が築けたと思っています。最大の壁は、当初の計画より1カ月前倒しで営業運転を開始したこと。タイトなスケジュールでの契約内容の見直しが必要でしたが、関係各所の協力によって、何とか乗り越えることができました。電力需給がひっ迫する冬季に新1号機が貢献できたことに、誇りを感じています」(赤松)

「さまざまな困難を乗り越えて、運転開始の時を迎えられたことに安堵しています。プロジェクトにおいて、もっとも喜びを感じたのは、金融機関からの融資が決まり、はじめて大口の支払いを完了した瞬間です。それは、プロジェクトを成功させる第一歩を踏み出せた瞬間でもありました。ASGがすべきことを、遅滞なく、確実に果たすことができた。その達成感が、大きな自信を与えてくれたと思っています」(内藤)

Project 03

最新の技術に、妥協は許されない。

建設工事の現場においても、コロナ禍による影響は大きな壁となった。建設に必要な資材が届かない。海外から招聘する予定だった技術者が来日できない。そうした状況の中でも、計画通りにプロジェクトが進んだのは、現場のメンバー一人ひとりの創意工夫があったからだ。設備の肝となるタービンの設計段階から工事管理までを担当した井上達也も、そんな技術者のひとり。コロナ禍に翻弄された現場をこう振り返ってくれた。

「世界最高水準の熱効率・環境性能を誇る発電所をつくる。そのプロジェクトの一員になれたことをうれしく思い、この目標を必ず成し遂げてみせると意気込んでいました。コロナを理由に建設が遅れる。求めていた性能が出せない。そんなことが起きてはいけません。今できることを前倒しで実施し、手がけられないところは後に回す。工程を柔軟に入れ替えることで、建設と試運転を推進し、トラブルを一丸となって解決していきました」

姉崎火力発電所のリプレースは、最大で1,500人もの作業者が参加する一大プロジェクトだ。作業者が健康に、安全に仕事に打ち込める環境を守ることだけでも、数多の困難が伴ったことは言うまでもない。亀井所長は、そうした状況を打破したのは、すべてのメンバーを思いやり、支え合っていく建設所全体の取組みだったと断言する。

「毎日、PCR検査を行い、濃厚接触者を隔離する。感染予防対策には万全を期していましたし、猛暑の中、マスクをして仕事をする作業者の皆さんを全力で支援する体制を整えていました。こうした建設プロジェクトは、多くの人の力を結集して、はじめてなし得るもの。JERAの社員を総動員して、冷たいドリンクを手渡すなんてこともありましたね」

想いをひとつに、未曾有の困難を乗り越えていく。懸命に使命に向き合うメンバーたちだったが、さらなる困難に見舞われることとなる。NOx低減の決め手となる最新の燃焼器が振動(ダイナミクス)によって、うまく機能しない事態に陥ったのだ。

「一時的にやむなく元の機種に戻す決断をしましたが、この装置は、姉崎における最新技術の結晶とも言える部分。一度、うまくいかなかったからといって、妥協するわけにはいきません。検証と対策を重ねることで、最新の燃焼器を搭載するチャレンジを続けています。営業運転開始はひとつの節目ではありますが、発電所は建設して終わりというものではありません。何十年にもおよぶ運転・保守を見据えながら、自らの責務を全うしたいと考えています」(井上)

Project 04

それぞれの夢。新たなチャレンジ。

一人ひとりのメンバーの想いとチャレンジによって、世界最新鋭の火力発電所はその第一歩を踏み出した。すでに営業運転中の新1号機・2号機に続き、2023年8月には新3号機も営業運転を開始する予定だ。今後、かつてないエネルギー効率と環境性能を備えた発電所から、首都圏を中心としたおよそ400万世帯に電力が届けられることになる。このプロジェクトを牽引した4人のメンバーたちは、その達成感を胸に、新たな目標に向かって動き始めている。

「このプロジェクトでは、建設においても既存の設備を活用することで、環境負荷を低減する手法が採用されました。こうした新たなチャレンジの知見が、今後に活きる財産になっていくと思います。JERAは常にチャレンジを続ける会社です。そこに身を置く者は、知見がなくても前に推し進める力が要求される場面に直面することになります。今後も、そうした瞬間に立ち会い、JERAの成長や世界の発展のために力を尽くしていきたいと考えています」(内藤)

「建設所のメンバーに、メーカーをはじめとしたパートナー会社の方々、そして、プロジェクトを陰から支える私たち。みんなの力でプロジェクトをここまで進めることができました。まずは、新3号機の営業運転開始まで全力を尽くすこと。その後は今回の経験を活かし、さまざまなことにチャレンジしていきたいです。火力事業の分野に携わる女性はまだまだ少ないのが現状。私がチャレンジし続けることで、多様な人財がさらに活躍できる環境づくりにつながっていくと思っているんです」(赤松)

「姉崎には、最新鋭の設備はもちろん、DXや業務効率化について最新の考え方が採用されています。この最新鋭の発電所は、JERAにおけるモデルケースになっていくもの。その建設に携われたことを心から幸せに感じています。技術と知見をさらに磨き続けて、いつの日か、ここを超える発電所をつくってみせる。それが、私の新たな目標になりました」(井上)

「営業運転開始を前倒しし、電力需給がひっ迫する冬季に安定供給を実現できたことは、このプロジェクトの成功を示す証左であると思っています。そうした成果を得られたのも、一人ひとりのメンバーが懸命に仕事に向き合ってくれたから。すべてのメンバーに心からの『ありがとう』を伝えたいですね。

ただし、まだ姉崎火力発電所は最新鋭の設備を手にしただけです。この発電所がJERAのモデルケースになれるか否かは、今後の運用に懸かっています。チャレンジの姿勢を忘れることなく、姉崎を最高の発電所にする。それが、私たちの使命だと考えています」(亀井)

To The Borderless World

今こそ、やらなきゃダメなんだ。

最先端のテクノロジーで
エネルギーに革新を。
その挑戦は、やがて社会に届く。
目の前にある困難を
心から楽しみ、乗り越える。
技術者として、これ以上の幸福はない。

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