多様性がもたらす化学反応

Cross Talk

  • 法務部
    コーポレート法務ユニット
    2023年キャリア入社 法学部

    佐鳥 竜太

  • JERA Power Trading
    商務部ITグループ
    2022年キャリア入社 文学部

    梁 玉娟

  • プラットフォーム事業統括部
    エネルギートランジション事業部
    エネルギートランジション事業第二ユニット
    2021年キャリア入社 経済学部

    諫山 彩香

  • 取締役
    副社長執行役員
    財務・経理管掌(CFO)

    酒入 和男

※情報は取材当時のものになります。

Introduction

JERAでは、多くのキャリア入社人財が活躍している。
あらゆる業界から、多様な視点と知見を持ち寄り
人類が抱える最大の課題に解決策を示す。
プロフェッショナル人財たちが、
JERAのカルチャーと仕事の魅力を語り合った。

Cross Talk 01

JERAが持つ魅力。
それぞれが見出した「意味」。

皆さんはJERAの
どのような点に魅力を感じ
転職を決めたのでしょうか。

諫山

日本最大の発電事業者であること。そして、LNGの取扱量が世界最大級の規模であることが大きかったです。ここでなら、スケールの大きな面白い仕事ができるのではないかと。実際に入社してみて、仕事の幅や、規模の大きさをあらためて感じていますが、同時に「安定供給」という社会からの要請に応えていく責任や、社会的意義のようなものも痛感しています。

酒入

やはり安定供給に関わる者の責任は大きいですよね。JERAは、東京電力と中部電力の火力、燃料、海外事業などを統合して設立された会社であり、日本全体で消費される電力の約3割を発電する会社です。一昨年から、主に欧州の再エネの不調によって資源価格が高騰していたところに、昨年、ロシアのウクライナ侵攻が勃発し、世界で発電用の燃料の奪い合いになったことから、日本向けの燃料が不足し、電力供給に懸念が生じました。ギリギリのところで停電を回避できたのは、世界16カ国から燃料を調達し、26カ所の発電所をフル稼働させたJERAの存在が大きかったと思います。

私は、外部アドバイザーとしてJERAの設立に関わりましたが、JERAの設立には、燃料、特にLNGの調達規模を拡大し、世界の売主に対する交渉力を高めるという目的がありました。日本は国全体としてはLNGの調達量が世界最大だったにも関わらず、その取引がいくつもの電力・ガス会社に分散していたため、売主との間の交渉力を高めることに課題があったのです。例えば、韓国はコリアンガスという会社がありますが、韓国全体の輸入量の相当量を一社で調達しているから、競合した時に「買い負ける」こともあったと聞いています。「世界で戦うエネルギー企業になる。」JERAはそんな強い想いを掲げて立ち上げられた会社です。こうした想いを実現させるために多くの取組みが必要ですが、DXの推進や、データドリブンカンパニーの実現もそのひとつです。梁さんはIT企業からの転職だそうですが、どのような想いでJERAを選んでくれたのでしょうか。

私は中国の大学院を卒業した後、新卒で日本のIT企業に入社しました。ITのインフラ構築やシステム導入をエンジニアとして任されていたのですが、ある時、ひとつの疑問を抱くようになりました。自らが開発したツールは、本当にお客さまの役に立っているのだろうかと。その疑問に答えを出すためには、ビジネスそのものを理解しないといけないと思ったことが転職を決めた理由です。そこで、エージェントの方から紹介されたのがJERAでした。電力業界のことは詳しくありませんでしたが、実際にビジネスをする人たちの隣で仕事をして、そのエッセンスを理解し、ビジネスをよりよくするためのツールを一緒に考えていく仕事に魅力を感じました。

酒入

日本企業のIT部門とビジネスの現場は、関係性が希薄な傾向がありますよね。ビジネスサイドが「こういうことをやりたい」と要件を設定したら、「あとはよろしく」とばかりに丸投げになってしまう。DXやデータドリブンといった分野で日本が海外に後れを取っている原因は、そうした部分にもあるのではないかと私は考えています。海外の発電ビジネスや、トレーディングの会社を見ていると、ITを担う人財とビジネスを担う人財が隣り合わせで仕事をしています。そして、その場でビジネスの課題を解決するソリューションが生まれていくわけです。JERAでもそうした環境づくりを目指しており、梁さんのような方がそこで活躍することを望んでくれていることは、頼もしいかぎりですね。

実際に入社してみて感じているのは、想像以上の仕事のスピード感です。アジャイル開発が当たり前に行われていますし、普通なら1年以上かかるシステムの導入をわずか3カ月で成し遂げてしまったこともありましたから。

酒入

ここ30年の間、日本企業の成長が停滞し、日本経済が低迷したのは、終身雇用・年功序列といった昔の常識に縛られていたということも理由のひとつではないでしょうか。JERAは、2011年の東日本大震災で福島の原子力発電所が被災し、東京電力をどのように立て直すかという危機感が発端となって生まれた会社。その危機を乗り越えてきた会社だからこそ、迅速に意思決定をして、良いと思ったことは取入れていくカルチャーがあると思います。私はJERAを「図体の大きいベンチャー」と表現していますが、そうしたカルチャーが失われないようにするためにも、もっと多様な人財を外部から招き入れる必要があると思っています。佐鳥さんがいるリーガル部門にも、そうした専門性の高い人財が数多く集まっているでしょう? 皆さんの知見や提言は、取締役会の議論のクオリティーを大きく向上させてくれています。

佐鳥

JERAでは、多様な人財を経営に呼び込んでいますよね。グローバルHRのトップはイギリス出身の方ですし、ICTのトップであるCIDOはチュニジア出身です。そうした取組みは、健全なガバナンスを構築する上できわめて重要なことだと思っています。私たち実務担当者の仕事は、会社のよさを仕組み化し、かつ開示文書にして社会に伝えていくことです。そうすることで、JERAの事業は将来に向けて大切な取組みであることを多くの人々に理解していただける。社会の理解なくして、私たちのビジネスは成立しませんから。私がJERAで働くことを決めたのも、自身のキャリアの中核であるコーポレートガバナンスにおいて、「経営陣の本気」を感じたからでした。さまざまな課題にコミットし、会社をよりよくしていこうという経営陣の意志を感じるからこそ私たちも専門知識や技術をもってこれに全力で応え、社会からの信用を得ていくための提案をし続けたいと思うんです。

酒入

ダイバーシティを進め、世界の大手エネルギー企業と伍して戦える会社を目指す本気度は、5月31日に発表した新経営体制にも表れています。取締役の数は11名ですが、日本の電力会社出身は、株主からの社外取締役2名を含めて6名にとどまり、その他の5名は私を含めて外部出身者です。そのうち、外国人も3名含まれますが、単なる人数合わせではなく、スーパーメジャーと呼ばれる世界有数のエネルギー企業、トレーディング企業、IT企業、M&A企業のトップマネジメントや、アジアの閣僚経験者と、将来のJERAの成長を牽引するために必要な多彩な人財が集っています。経営会議も同様に非常に多彩な人財で構成されています。ただし、JERAの未来を担っていくのは紛れもなく、現場で活躍する若手メンバーの皆さんです。JERAがカーボンニュートラルの実現を目指している2050年。その時、私たち経営陣はここにいません。そのことを理解しているからこそ、常に先を見据えた意思決定をする必要があり、若い世代の意見や想いを意思決定に反映させる必要があると考えています。

Cross Talk 02

一人ひとりの人財が
いきいきと活躍するために。

他業種で経験を積んできた皆さんにとって
JERAのカルチャーは
どのように映っていますか?

諫山

新しいことに積極的にチャレンジしていこうというカルチャーはとても魅力的なものです。私自身、既存の火力発電所に「CCS」を活用する新規事業を検討していますが、これは「JERAゼロエミッション2050」の重点的な取組みとして公開されているものではありません。それでも、私たちがそこに取組むのは、「脱炭素」という文脈において、あらゆる手段をとっていくべきだからです。今やらなければ、今後その手段が求められた時に、出遅れる状況になってしまうことも考えられます。会社が示した「何のために」という大きなゴールのもとで、できることは何でもやっていくカルチャーはJERAならではのもの。手探りの中で進めていく仕事は大変なものですが、チームの全員が気概を持って取組んでいます。

酒入

JERAの経営会議では、10を超えるビジネスセグメントごとに「何のためにそれをするのか」という中長期戦略について、かなりの時間をかけて議論します。個別の投資案件やM&A審議においては、まずこの戦略と整合しているかを確認することが第一歩となります。「利益を上げること」は大事ではありますが、それよりも、戦略的な意義に重きを置いているのです。JERA発足に当たっては、東京電力と中部電力が保有していた多くの資産、プロジェクト、事業がJERAに統合されましたが、その中にはJERAの戦略とは合致しないものもありました。私たちは利益が出ていても、JERAの戦略に合わないものは売却や処分するという方針ですので、その考えに基づき、いくつかの資産、事業をすでに売却しています。「何のために」という目的を明確にし、戦略に沿った新たなことにチャレンジしようというマインドの表れであり、それが企業価値の向上に結び付くと考えています。

私はIT人財として入社しましたが、「何のために」という目的を強く意識するようになりました。会社全体を最適化するために、何をする必要があるのか。どの業務を効率化する必要があるのか。技術を駆使して、本当に役立つものをつくる。入社前に思い描いていたような仕事ができていると実感しています。日本における電力トレーディングは、まだ始まったばかりのマーケットです。電力自由化に伴って、外資のプレーヤーも市場に参入してきていますし、すでにマーケットが発展しているアメリカのノウハウを取入れていくことも考えなければいけません。いずれにしても、JERAの電力トレーディングの発展を支える、確かな価値を創出していきたいと思っているんです。

酒入

電力トレーディングは、今後、間違いなく成長を遂げていく事業であり、JERAのビジネスモデルに大きな変革をもたらす可能性があるものでもあると思っています。私たちも、皆さんがますます大きな価値を創出してくれるものと期待しています。

佐鳥

「脱炭素化」という大きな目標に向かって、いかにして独自のバリューを出すか。そして、社会に大きなメリットをもたらしていくか。どの事業部の皆さんも、数字の目標を達成することだけが最大の目的だとは思っていないんですよね。各々が主体的な問題意識を持ち、積極的に新しい取組みを発信している。現場の皆さんを見ていると、それを支えるコーポレート部門としても力が入ります。社会に、世界に貢献したいという想いをひとつに、アクティブにチャレンジを続ける。そうした会社を支えられることは本当に幸せなことだと思っています。

酒入

私は、JERAが世界で戦えるエネルギー会社になれるかどうかは、皆さんの世代に懸かっていると思っています。だからこそ、皆さんが魅力を感じ、働きがいを得られる土台づくりをしなければいけません。例えば、かつて存在していた縦割りの組織構造などは、徹底的に変える努力をしてきました。若手のメンバーが価値ある提案をしても、順々に役員まで承認を取っていくのに時間がかかってしまう。だったら、役職を飛び越えて話をしにいけば良いのだけれど、それも憚られるような雰囲気が以前はありました。それでは、チャレンジしようという気にはなりませんよね。JERAでは役職ではなく、「さん」づけで呼び合うフラットな風土ができていますし、私の管掌である財務経理部門では若手メンバーが私と一緒にランチを取り、忌憚のないコミュニケーションを交わす取組みが日常化しています。

先日、2022年の新卒採用メンバーと座談会をする機会があり、最後に、「遠慮なく僕の部屋にいつでも遊びに来てよ」と誘ったところ、本当に15人ほどのメンバーが希望してくれて、2回に分けてランチ会を実施しました。まだ社会人になって1年未満の人たちなので、遠慮なく、それぞれの想いを伝えてくれ、私にとっても貴重な時間でしたし、大変楽しかったです。中には「酒入さんは、JERAは巨大なベンチャー企業と言うけれど、自分の職場はそういう雰囲気とは言えない」とダメ出しをする人もいました。「ああ、自分自身わかっているつもりになっていたんだなぁ」とか「見えていないところもあるんだなぁ」と新たな改善のタネを見つけるきっかけにもなりました。

諫山

私の所属するユニットでも、年齢や役職に関係なく敬語を使う文化があり、お互いがリスペクトし合いながら仕事を進めています。経験が浅いからなんて気にする人はいませんし、自らの主張を発信していくことが当たり前になっています。前職では、上の役職者へはその直属の部下から説明するという文化がありましたが、この会社では経営層レベルまで私自身が説明や提案する機会も少なくありません。自分のアイディアは自分の言葉で説明したいですよね。その提案には私だけの想いが込められているんですから。

フラットに発言できる環境もそうですが、私が感じている魅力は、人の成長を長い目で見てくれることです。異業界からやってきた私にとって、電力会社独自の概念やレギュレーションは一朝一夕では覚えられないもの。今月はここを重点的に勉強する、といったように、焦りなく着実に仕事を覚えることができています。

佐鳥

JERAに入社して感じたのは、本当にいい人ばかりだということ。私が育ってきた会社は、成果が出なければ詰められるみたいなことが、当たり前に行われていました。だから、JERAの人たちはまるで聖人のようでしたよ。優しすぎて、慣れない最初は逆に居心地が悪いと感じたほど(笑)。それにしても、派閥や社内政治といった余計なことを考えずに済むのは、本当に心地いいですよね。純粋にいいアイディア・いい仕事で勝負できるわけですから。

酒入

私自身、25年以上アドバイザーの仕事を通じて多くの企業のM&Aや企業統合に関わってきた経験がありますが、東京電力と中部電力という巨大な規模の会社が統合する過程で、足の引っ張り合いや、いがみ合い、派閥争いのようなものが見られないケースは珍しいと思います。世界で戦える企業を本気で目指しているので、そのような社内でのいざこざに時間を割いている暇がないのかもしれないです。

Cross Talk 03

異なる視点が
JERAの未来を切り拓く。

最後に今後の目標を
聞かせてください。

佐鳥

機関法務・コーポレートガバナンスの専門家として、JERAの品質を日本、ひいては世界トップレベルに導くこと。そして、それを担う私自身も業界の第一人者として成長することです。そのためにも、会社の単なる一部門ではなく、経営のパートナーとして思っていただけるような仕事をしなければいけません。経営参謀として、経営の武器になる価値を発揮していきたいと思っています。

諫山

私は途上国の持続可能な開発に関心があり、その知識を得るために新卒入社した会社を辞め、海外の大学院に留学しています。東南アジアでは、日本と同様に2050年や2060年での脱炭素化を掲げている国が多いですが、そのための「How」がまったく確立されていない状況にあります。私の目標は、途上国の持続可能な開発に資するクリーンで安定した電力供給に資するプロジェクトを成就させることです。現地のパートナー企業や現地の政府も巻き込みながら、少しでも社会に貢献できる仕事をしていきたいですね。

IT企業で仕事をしていたころは、最先端の技術を使ってものをつくることばかり考えていました。しかし、JERAは「ツールに使われるのではなく、ツールを使いこなせる人にならなければいけない」ことを私に教えてくれました。今後の目標は、エネルギー業界に対する理解を深め、自らの特徴を活かし、かつてないアイディアを提案できるようなプロフェッショナルになることです。そして、いつの日か、JERAで学んだノウハウや知見をグローバルに展開していく仕事に挑戦したいと考えています。

酒入

「沈黙は金、雄弁は銀」というのは日本特有の考えであり、グローバルには理解が得られづらいし、日本においても今や昔の話だと思います。恥をかきたくないから、否定されたくないから自分の思いを表に出さないと言う日本的な思考は、未だに日本の教育の現場には残っているのかもしれません。ただ、それでは、若い人やキャリア採用の人たちの意見が会社の変革に活かされません。若い人の発言が押さえつけられたり、遠慮せざるを得なかったりするようなカルチャーは絶対につくりたくないと考えています。そもそも、未来はこうなると正確に予測できる人はいません。たとえ、その主張が間違っていようとも、異なる視点は柔軟性のある強い組織につながります。私自身、35年の社会人キャリアにおいて、違うことを言う人を排除せず、その話に耳を傾け、信頼関係を構築することで、今の自分を支えてくれるネットワークをつくることができたと思っています。自分たちと違う視点を大切にし、異業種の人と積極的にコミュニケーションを交わす。そうした交流が当たり前になれば、この会社は、いかなる状況においても生き残っていける、強い会社になっていると思います。

ひとつだけ私がJERA入社後に取組んできた事例をご紹介しますと、私が管掌する財務経理部門は、現在約160人の陣容ですが、株主である東京電力、中部電力から転籍してきた、いわゆる電力出身者は50人以下です。100人以上が、外部企業から中途入社した人たちであり、その中には、FP&A、ファイナンス、IR、税務、M&Aなどの各分野の専門知識を有するプロも多数含まれています。当然ですが、そこに年齢や性別、国籍の区別は一切ありません。

佐鳥

そのお話を聞くと、違うからこそ発揮できるバリューを出していこうと、仕事への向き合い方が前向きになりますね。電力出身ではないことはネガティブな要素ではない。違うからこそ、意味があるんですよね。

※Carbon dioxide Capture and Storageの略語。二酸化炭素(CO₂)を分離・回収し、地中などに貯留する技術。

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