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【更新】2026年度上期 定例記者会見の実施について2026/06/24

発言要旨を追記しました(2026年7月1日)。

 当社は、6月24日、可児代表取締役会長 Global CEO、奥田代表取締役社長 CEO兼COOによる定例記者会見を実施しており、メディアの皆さまへの会見での説明資料を掲載しましたので、お知らせいたします。
 

【会見概要】
 第Ⅰ部:事業環境の変化とJERA成長戦略の遂行
 第Ⅱ部:成長戦略の実現に向け、競争力を引き上げる組織変革
 第Ⅲ部:不確実性の時代に強い電力需給体制の確立

 

【発言要旨】

■ 可児会長 Global CEO  

 私からは、JERAの設立から11年間の歩みと、今後の成長に向けた大きな三つの打ち手についてご紹介します。三つの打ち手とは、LNGバリューチェーンの強化、データセンター向けエネルギー供給、そして脱炭素への取り組みです。

 そして三つの打ち手をより確実に実行するための組織変革についてご説明します。

 

【第Ⅰ部:事業環境の変化とJERA成長戦略の遂行】

P3:数字で見るJERAの歩み

 2015年4月のJERAの設立以降、私たちは社会に対して大きく三つの価値を提供してきたと考えています。

 一つ目は、日本のエネルギー安定供給を支える発電基盤を築いてきたことです。2011年3月の東日本大震災以降、日本では発電能力の強化が早急な課題でした。JERAは新規火力電源を約730万kW建設して運転を開始するとともに、老朽火力の延命にも取り組み、発電能力の確保の面から日本の電力供給を支えてきました。

 二つ目は、東京電力と中部電力のLNG調達を統合したことにより、世界最大級のLNGの買主となったことです。この調達力を梃にして、上流投資、輸送・トレーディング、受入、発電までを一体で担う、世界最大級のLNGバリューチェーンを更に強化してきました。現在は16カ国からLNGを調達しており、年間のLNG取扱量は約3,500万トンから4,000万トン規模に達しています。こうして、燃料確保の面から日本の電力供給を支えてきました。

 三つ目は、脱炭素時代を見据え、新しいエネルギーソリューションの確立に挑戦してきたことです。大型商用石炭火力における燃料アンモニア20%転換実証試験に成功したほか、英国bp社とのJERA Nex bpの設立を通じて、洋上風力の開発・保有・運営で世界トップクラスのプレイヤーを目指しています。

 

P4:ミッション達成に向けて事業を多様化・高度化

 こうした取り組みを通じて、JERAはLNG、再生可能エネルギー、水素・アンモニアの三つを柱とし、事業領域や事業規模を大きく拡大してきました。総資産は2019年の4兆円規模から、2025年には10兆円規模へ、当期純利益も2019年度の900億円から、2025年度には1,836億円へと拡大しています。

 今後10年で5兆円の投資を計画していますが、大切なことは、投資配分は固定的に考えるものではないという点です。事業環境は大きく変化しており、それに応じて柔軟に投資配分を組み替えながら、成長を実現していきます。

 

P5:不確実性の時代に広がる成長機会

 今、エネルギー産業は非常に不確実性の高い時代にあります。世界では地政学リスクが高まり、エネルギーの安定調達の重要性が一段と増しています。国内ではLNG需要の見通しが難しくなっています。中長期的にどれだけの量のLNGを確保すべきかに加え、短期的にも夏冬の需要期と春秋の不需要期の需要の差が広がり、調達と運用の難度が上がっています。

 さらに、資材価格や金利の上昇により、再生可能エネルギーや水素・アンモニアといった脱炭素ソリューションの競争力にも影響が出ています。このような状況にあっても、JERAのミッションである「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」という方向性は変えません。私たちはこのミッションを徹底することで、社会課題の解決と企業としての成長を両立していきます。

 そのために、三つの打ち手を進めています。第一に、LNG調達ソースの分散化の徹底とLNGバリューチェーンの強化です。第二に、AIの普及に伴って拡大するデータセンター需要に対するエネルギー供給です。第三に、脱炭素に向けた再生可能エネルギー、水素・アンモニアへの規律ある取り組みです。

 

P6:LNGの特性と打ち手

P7:LNGバリューチェーン強化に向けた取り組み

 まずLNGについてです。LNGは日本の電力安定供給を支える重要な燃料ですが、難題もあります。具体的には、日本では夏と冬の電力需要期にLNG所要量が増え、春と秋の電力不需要期には減ります。一方、長期契約を締結すると約20年間、一定量がLNG基地に届けられますが、燃料タンクの容量には上限があります。この「LNGを使う量(需要量)と、運ばれてくる量(供給量)のミスマッチ問題」に対応できないと、安定供給が確保できなくなるのです。

 JERAはLNGバリューチェーン強化により、この難題を解決する取り組みを進めてきました。具体的には、大きく三つあります。

 一つ目は上流投資です。北米シェールガス田の権益を取得し、LNGバリューチェーンにおけるリスク耐性を高めています。これは将来、米国の天然ガス価格が高止まりした場合のヘッジ効果も期待できる取り組みです。また、豪州を含め上流段階から関与することで、将来の調達安定性を高めていきます。

 二つ目は、長期契約の確保と調達先の分散化です。昨年の米国に続き、カタール・マレーシアから長期LNG調達を決定しました。特定の国や地域に依存しない、多様化されたLNGポートフォリオを構築することで、有事の際にも安定的な調達を可能にしていきます。

 三つ目は、ポートフォリオの多様化です。LNGのフローを拡大することで、需要変動への対応力を高めています。調達したLNGをグローバルに最適化し、必要なときに必要な数量を日本へ届ける力を強化します。そのために、LNG輸送船の建造、受入基地の戦略的活用、海外パートナーとの運用最適化、欧州での基地利用契約などを進めています。

 JERAが目指しているのは、単にLNGを買うことではありません。ガス田、液化基地、LNG輸送、調達・販売、受入基地、そして発電までを統合し、一体運用することで、安定供給の力を高めることです。繰り返しになりますが、日本のエネルギー安全保障そのものに直結する取り組みです。

 

P8:データセンターの市場環境と現状の取り組み

 二つ目の打ち手は、これからの社会のあり方を大きく変える、データセンターへのエネルギー供給です。

 AIの爆発的な普及を背景に、データセンター需要は世界的に大きく伸びる見込みです。

 JERAはこの爆発的な電力需要増に応えるべく、国内の発電所隣接地と自治体・事業者とのネットワークを活かし、電源に近接するデータセンター集積モデルの具体化を進めています。国内では系統接続に時間を要する中、JERAの発電所から直接電力を供給するモデルに複数の事業者から高い関心が寄せられています。

 既に横浜港臨港地区のJERA火力発電所構内では、データセンター誘致に向けて横浜市と連携する覚書を締結しました。また、海外でも米国・欧州・アジアで複数の事業者と、発電所構内でのデータセンター新設や、データセンター向け電力供給について協議を進めています。

これらは、JERAにとって単なる新規事業ではありません。日本に留まらず世界のデジタルインフラ、AI活用基盤、そして特に日本の産業競争力を支える取り組みです。JERAは新たな電力需要に対しても、「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」というミッションを果たしてまいります。

 

P9:再生可能エネルギーにより、中長期的な脱炭素ソリューションの構築を目指す

 三つ目は、脱炭素に向けた取り組みです。まず再生可能エネルギーについてです。足元では資材価格の上昇、金利の上昇、サプライチェーンの制約などにより、非常に強い逆風が吹いています。事業の縮小や撤退を発表する企業も出てきています。それでも再生可能エネルギーは、脱炭素だけでなく、エネルギーの安定供給や安全保障の観点からも、そして何より、次世代にオプションを残す点からも不可欠な電源です。JERAは短期的な市況に一喜一憂するのではなく、再エネを中長期的なソリューションと位置づけたうえで、規律ある投資を徹底しながら、組織能力を高めていきます。洋上風力については、グローバルな知見と地域に根ざすローカルな強みを融合した「グローカル体制」をJERA Nex bpに集約し、国内外のプロジェクトを確実かつ堅実に進めます。太陽光・蓄電池についても、グループ会社のJERA Crossと連携し、パートナー企業のGX実現に貢献します。また、国内火力と蓄電池を組み合わせ、火力の効率利用や延命化にもつなげる新しいエネルギーモデルにも挑戦していきます。

 

P10:水素・アンモニアバリューチェーン強化に向けた取り組み

 水素・アンモニアについては、LNGと同様に、バリューチェーンの構築を目指しています。上流側では、米国ルイジアナ州の世界最大規模のブルーアンモニア製造プロジェクト、「Blue Point」への投資を通じて、燃料アンモニアの上流権益を確保し、2029年度を目途に初のブルーアンモニアバリューチェーン構築を目指します。

 輸送面では、燃料アンモニア輸送船4隻の定期用船契約を締結し、生産地から需要地までをつなぐ輸送体制の整備を進めています。 そして、下流側の碧南火力発電所では、2024年6月に燃料アンモニア20%転換実証試験に成功しました。

 また、商用運転に向けて、アンモニア基地設備の工事も順調に進んでいます。 また、バリューチェーン構築の鍵となる下流側の需要面では、発電だけでなく、船舶用燃料や製造業など複数用途で活用するマルチパーパス戦略を進めています。複数の異なる需要を束ねることで、燃料アンモニア市場の拡大とサプライチェーンの強靭化を早期に実現していきます。

 

【第Ⅱ部:成長戦略の実現に向け、競争力を引き上げる組織改革】

P12:多様な事業を再編成し役割と貢献を可視化

 ここまで、JERAの成長戦略の進捗についてご説明しました。続いて、この成長戦略をより早く、より確実に実現するための組織変革についてお話しします。JERAはこの10年で大きく成長し、事業領域も多様化しました。同時に一つひとつの事業が高度化し、求められる専門性も大きく変わっています。

 これまでJERAは、大きな一体運営の中で異なる事業をつなぎ、バリューチェーン全体の最適化を図ってきました。これはJERAの成長を支えてきた重要な仕組みです。一方で、事業がこれほど多様化・高度化すると、すべての事業を本社機能が一括で意思決定することは難しくなります。市場環境が複雑化する中で、迅速かつ専門的な判断を行うには、責任と権限をより明確にする必要があります。

 

P13:事業構造の見直しを通じ各事業の責任体制を明確化。同時に、成長に向けた目標を定義

 そこで、類似する機能ごとに事業を再編し、明確なバウンダリーを持った六つの事業単位に整理します。具体的には、

 上流投資・輸送として、LNG・クリーン燃料分野の圧倒的リーダーを目指す「LNG・クリーン燃料」

 下流の発電として、世界最高レベルの運営を目指す「国内火力」

 JERAグループのソリューションをグローバルに展開する「海外火力」

 再エネ分野で世界のリーダーを目指す「JERA Nex」

 そして、上流と下流をつなぐ市場対応・需給調整として、世界トップクラスのエネルギートレーダーである「JERA Global Markets」

 そして、燃料と電力市場を数量・価格の両面で最適化する司令塔「国内電力ガス販売」

 各事業が自らの領域で専門性を高め、責任を持って意思決定する一方で、本社機能はグループ全体を統合的に支える役割を担います。

 バリューチェーンの観点で言えば、上流側ではLNG・クリーン燃料事業が、LNGとアンモニアの上流投資、輸送、調達を担います。下流側の発電は、国内火力、海外火力、国内外の再生可能エネルギー事業を担います。そして、上流の燃料と下流の発電を国内でつなぐのが国内電力ガス販売です。顧客、市場、制度を踏まえ、燃料市場と電力市場を数量・価格の両面でつなぐバリューチェーン・コントローラーの役割を果たします。

 また、JERA Global Marketsは、LNG、石炭、電力市場、そしてJERAの保有資産に関する知見を活かし、日本の安定供給を支える世界有数の電力会社系エネルギートレーダーを目指します。

 今回の組織変革は、各事業を単に分けることではありません。各事業が専門性を磨き上げ、自律的にアジャイルな意思決定を行う。そのうえで、燃料調達、発電、再生可能エネルギー、市場取引を一体でつなぎ、JERA全体として社会的使命と収益性を両立することです。JERAの最大の強みは、バリューチェーンを一体で運用できることにあります。今回の組織変革は、20ある事業を六つに統合し、各事業の競争力を高めたうえで、JERA全体としてより強くつなげるための深化なのです。

 

P14:JERA Core Value

 最後に、六つの事業を一つにつなぐ仕組みについてお話しします。事業ごとの自律性を高めれば、意思決定は速くなります。一方で、日々の判断や行動において、グループ全体で共有する価値観「Core Value」が重要になります。今回私たちは、経営陣だけでなく、発電所も含め全社をあげて議論を尽くし、この「Core Value」を定めました。

 MissionとVisionは、私たちが目指す方向を示すものです。バリューチェーン一体経営はJERAとして価値を生み出す仕組みです。そして「Core Value」は、一人ひとりがどのように考え、どのように行動するかをつなぐものです。

 中心に置いた考え方は、“Ownership to Serve Our Tomorrows”。自ら踏み出し、明日の社会のために力を尽くす。という強い意思です。JERAは、エネルギーという社会の根幹を支えるインフラを担う会社です。だからこそ、一人ひとりが自らの役割に責任を持ち、明日の社会に向けて主体的に行動することが重要です。

 「Core Value」には、公正であることを示す「Fairness」、開かれていることを示す「Openness」、多様性を尊重する「Diversity」、そして互いを尊重し安全を最優先する「Respect & Safety」という価値観も含めています。

 私たちは、六つの事業に明確な境界を設けながらも、Mission、Vision、バリューチェーン一体経営、そして「Core Value」によって、グループとしての一体感と連携を維持していきます。明確な責任と権限、高度な連携、そして共通の価値観。この三つを通じて、JERAはより速く、より強く、そしてより社会から信頼される企業グループへ進化してまいります。

 私からの説明は以上です。

 

■ 奥田社長 CEO兼COO

 私からは「不確実性の時代に強い電力需給体制の確立」というテーマについてお話します。

 

【第Ⅲ部:不確実性の時代に強い電力需給体制の確立】

P16:電源構成・燃料調達先の多様化により、現在の中東依存度は低い

 これは現状の電気事業に対する私どもの認識をまとめたものであり、一言で申し上げますと、オイルショック以降、日本の電気事業者は電源構成と燃料調達先の多様化を進めてきており、現在の中東依存度は非常に低くなっています。従って、需給の安定確保、安定供給という観点からは、総論として、基本的に今回起こったような事象には非常に強い耐性ができていると言うことができると考えています。

 パイチャートの左側は第一次オイルショックが起こった1973年のデータであり、電源構成の実に7割以上が石油火力でした。しかもその燃料は8割近くを中東から輸入している、このような状況から出発しています。

 二度のオイルショックを経て、電源の多様化と調達先の多様化を図ってきた結果、現在は右のパイチャートでお示しするように、LNG、石炭、再エネ、原子力と、非常にバランスが取れた電源構成になっています。しかも、その中で主力化石燃料であるLNGの調達先を見ると、ホルムズ海峡を通過する量はわずか約6%しかありません。このような構造を、業界を上げて作ってきた歴史があります。今回のような事象が起きても、6%分の代替調達をしっかり行えば、需給の安定に支障が生じない構造ができているとご理解いただければと思います。

 したがって、今回の事象を契機とした電力の安定供給には、支障は出ないということです。で、これですべて問題が解決するのかというと、実はそうではないということをお示ししたのが次のページです。

 

P17:高止まりが見込まれる資源価格に対する打ち手が必要

 需給の安定という点は問題ないですが、LNG価格は上昇しており、これが7月以降の電気料金に反映されます。残念ながら価格は市場で決まってしまいコントロールができないため、電気料金は上がってしまいます。

 下のグラフは、一番上がJKM、アジア向けのスポットLNG価格を示しています。その次がJLC、全日本平均のLNG調達価格です。7割が長期契約、3割がスポット調達、その合計で入ってくる平均の価格です。

 一番下がGC NEWCSTLE、石炭のスポット価格です。このグラフを見ると分かるように、アジア向けのLNGスポット価格が、フォワード先物も含めて著しく上昇している局面がまだ続いています。 一方で、LNGの長期契約、これは原油価格にリンクするものが大半ですが、こちらも上がっていますが、一定の係数をかけて原油価格を反映してくるため、スポットほどは上がっておらず安定性があります。さらに石炭を見ますと、こちらも上昇はしていますが、LNGの上昇に比べるとその上昇幅は非常に小さいという特徴があります。

 やはり問題は、LNGスポット価格の上昇です。米国とイランが停戦で合意し、それが一定程度の効力を発揮したとしても、今回の紛争で破壊されたLNG供給設備の復旧には、メディア等で報道されている通り数年を要します。その間、基本的にLNG需給は引き締まった環境が続き、小さな事象でもLNGスポット価格が跳ね上がりやすくなるという環境がしばらく続くと考えています。

 したがって、LNGのスポット調達量をできるだけ減らしていく工夫が必要と考えています。このLNGスポット価格は、国内の電力スポット価格に直結します。

 

P18:(ご参考)電力スポット価格の推移

 左側は、東京・中部のエリアプライスの平均価格の推移を示しています。右側は、同じく東京・中部のエリアプライスのピーク時間帯における最大値の推移を示しています。

 ご覧の通り、平均価格も最大値も今回のイラン攻撃が発生した3月以降、大きく上昇しています。特に、右側の最大値の青い線、東京エリアのピーク時間帯、特に点灯帯需要の価格が時々50円/kWhを超えるような水準となる情勢になっています。

 これはエネルギーのスポット価格の上昇だけを反映したものではなく、買い手側である小売電気事業者の心理的不安も重なっています。高値を出さないと電力を買えないのではないかと考え、高値で買い札を入れる。このようなことも反映されて、特にピーク時間帯、点灯帯のスポット価格が跳ね上がる状況が起きています。LNGスポット価格の上昇がこのようなところにも全部反映されてきます。これは日本経済に非常に大きな影響を及ぼすことになりかねないため、早めに手を打ったほうが良いと判断しました。

 ピーク時間帯と点灯帯のスポット価格が高騰するリスクをヘッジできる電力商品メニューを緊急開発し、私どもの傘下のJERAグローバルマーケッツを通じて7月1日から販売いたします。そのメニューを小売電気事業者に買っていただくことで、この大きな変動をある程度ヘッジできるようになります。

 余談ですが、このメニューを売るということは、JERAとしての利益を減らします。値段が上がっており、そのまま売ったほうが儲かります。今年のJERAの利益を減らしても、長期的には社会の安定につながり、来年以降のJERAの利益を安定化する効果を見込んで、このようなメニューを緊急発売する予定です。

 

P19:LNGスポット調達の抑制がお客さま負担軽減のカギ

 先ほど、LNGスポット調達価格が高いため、これをいかに抑えるかが鍵と申し上げましたが、3月10日に行われた「第4回電力・ガス需給と燃料調達に関する官民連絡会議」において同じような話をしています。LNGのスポット調達をとにかく抑える。これが国民負担、お客さま負担を軽減する鍵として、三つの提言を申し上げました。

 一つ目は、事業者間で在庫情報をしっかりと共有して、事業者間でLNGを融通して協力し合いましょう。普段は競争法上、在庫情報をお互い知るということはできないのですが、緊急事態は政府において在庫情報を把握していただき、余ったところから足りないところにLNGを回していくことによって、スポットで余分なLNGを買うことを防いでいく。

 二つ目は、発電所の運用方法を柔軟に見直しましょう。端的に言うと、緊急時に石炭火力をフル稼働して余分なLNGを使うのをやめましょう、ということを申し上げました。現在は基本的に春と秋には環境への負荷を低減するために、石炭火力の稼働を一部抑制しているのですが、これをフル稼働することによって夏・冬に向けたLNGの在庫を高めに維持することが可能になり、結果として夏・冬のLNGのスポット調達を抑えることが可能となるため、提言として盛り込ませていただきました。

 三つ目は、電力市場価格をしっかり見て、そのシグナル機能を発揮させ、深刻度を価格でお客さまにお伝えする。それを通じてお客さまの方で無理のない省エネルギー等の行動変容を促していく。そうすることで、夏・冬のLNGのスポット調達量を減らしていく。このようなことにも取り組んでいきたいという提言をさせていただきました。

 このうち、一つ目と二つ目については、政府に迅速に動いていただきまして、現在は実現できています。

 私は今、あえて「石炭火力フル活用」という言葉を申し上げましたが、JERAゼロミッション2050を目指しているJERAにとってはどうなのかと、少し疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますので、補足説明いたします。

 

P20:エネルギー情勢に応じた石炭火力発電の活用でお客さま負担軽減を

 私どもはあくまでも、石炭火力は地政学リスクに強いという局面を重視し、平時と有事で使い分けながら活用していく。そうすることで、有事に強い国力を確保していくことが重要だと考えています。

 ただし、このような使い方をするときにも、前提としては石炭からアンモニアへの燃料転換、そしてCCSの活用という低炭素化は欠かさない。これらを行った上で石炭の焚き口をしっかり残して、平時と有事で使い分けることが重要と思っています。

 平時は特に春と秋に出力を抑制し、CO2排出量を軽減していきます。一方、有事にはその稼働率を上げることによって、高いスポットLNGを買わずに、お客さま負担を軽減することを目指していく使い方、資源小国の日本としては、やはりこのような使い方をすべきだと考えています。

 下にざっくりとした試算を示していますが、極端ですが仮に今、石炭火力を全てなくして、LNGだけで今回のような有事に対応する場合と、今のように石炭火力を持ち、非常時にはフル稼働して対応する場合で、国民負担は3兆円違う。私はこの金額はとても重いと考えています。資源小国である日本は、このような方法で活用しながら、非常時にはお客さま負担を軽減していくことが重要だと思っています。ただし、これをうまく機能させるためには、我々の努力だけではダメです。それが右上の丸ポチ部分に記載の通り、有事において石炭火力の活用をお客さま負担の軽減につなげていこうとすると、予め小売電気事業者と我々との間で石炭火力のPPAが結ばれていないと、石炭火力を持っているメリットがうまくお客さまに還元されないことになってしまいます。

 長期契約で小売電気事業者と石炭火力の電力を売る契約がない場合に起こることは、せっかく石炭火力を使って有事に安く発電したとしても、その電力を我々はすべて電力のスポット市場に入れなければなりません。スポット市場の価格は限界費用で決まるため、簡単に言うと、スポットでLNGを買って発電した値段で電力のスポット市場の価格が決まります。せっかく安く発電しているのにスポット市場からその電力を買うと、LNGのスポット価格を反映した高い価格で買わざるを得なくなり、石炭火力で安く発電したメリットが消えてしまいます。そのメリットはどこに行くかというと、実はJERAの儲けになってしまいます。我々としてもこのような儲け方は本意ではありません。あくまでも有事に石炭火力を活用しながらお客さま負担を軽減することが、我々が目指すところです。このような儲け方ではなく、やはりターム契約、長期契約で、石炭火力の電力を小売電気事業者にPPAで買っていただいて、それを通じてお客さまにそのメリットがちゃんと行き渡るようにしたいと思います。

 現状では、まだJERAの石炭火力に十分な量のPPAが結ばれている状態ではありません。現在緊急に準備を進めており、早ければ今年の夏からもう一度、石炭火力のPPAを再販することを検討しています。これを売り出したら小売電気事業者にぜひ買っていただきたい。そうすることによって、お客さまに石炭火力を持っているメリットが還元される形になります。これもJERAの今年の利益を確実に減らしてしまいますが、明日の社会を作っていくには非常に重要です。エネルギーという財の「エッセンシャルファシリティ」としての重要性を考えた場合、このような行動を取ることによって、お客さまに安定した電気料金で電力をお届けする、なおかつJERAとしても、今年の利益は減るけれども、来年度以降の利益を安定化させる効果があるわけです。

 来年の市場価格がどうなっているかは誰もわからないため、やはりPPAを結んでいただくことによって、我々も市場価格に関わらず一定の安定した利益を得ることができるため、緊急発売する準備を進めているところです。

 

P21:「Ownership to Serve Our Tomorrows(自ら踏み出し、明日の社会のために力を尽くす)」の精神の下、地政学リスクに強いエネルギー需給構造の構築をリード

 先ほど可児からご説明したとおり、私どもは新しく「Core Value」を作りました。 「Core Value」の一つ目は、“Ownership to Serve Our Tomorrows(自ら踏み出し、明日の社会のために力を尽くす。)”という精神です。この精神のもとで、今、明日の社会のために必要なこと、地政学リスクに強いエネルギー需給構造を作る、これらを自らが踏み出してリードしていきたいと思います。

 なぜならば、地政学的に不安定な世界情勢は今後も相当期間続くと見ておいた方が良いと思うからです。下に、その需給構造を作るために必要なこと、発電事業者、小売電気事業者、お客さまのそれぞれでやるべきことを、私どもなりの考えでまとめています。繰り返しになりますが、私どもは、なるべく電気料金が安定化するようなメニューを緊急開発して販売していきます。それをぜひ小売電気事業者に買っていただくことが必要になり、それを通じて強いエネルギー需給構造というのを作っていく。

 さらには、お客さまのところを見ていただきますと中長期的な視点から、国力・産業競争力を高める省エネ投資、あるいは家庭ではLEDや省エネ型エアコンなどへの買い替えを促進していく。これはとても大事だと思っています。例えばLEDでは、もともと全ての照明は2030年にはLEDに変わる予定になっています。これを今、前倒しで実現すると、住環境計画研究所の試算によると、年間約120億kWhの電力消費量を削減できます。2030年までかけて行うか、今すぐ行うかの違いですが、今年やれば約120億kWh減るんです。約120億kWhはLNG船に換算すると約30隻分なります。効用は何も変わりません。白熱電灯や蛍光灯をLEDに変えるだけであり、明るさが変わるわけではないです。むしろ、快適になるうえにこれだけの省エネ効果が生まれてきます。これは確実に我々にとってリスクに強いエネルギー需給構造になるだけではなく、お客さま側からしても電気料金の削減というメリットが出てくる。なおかつ産業競争力の向上にもつながっていきます。このようなことも含め、今後私どもが旗振り役としてリードしていきたいと思っています。

私からは以上です。

配布資料:2026年度上期定例会見説明資料[PDF: 2.63 MB]